ジュビロ磐田が、ホームでベガルタ仙台と激闘を繰り広げた。前半9分、FW小川航基(21)の今季公式戦1号で先制。その後も優位に試合を進めたが、後半41分、一瞬の隙を突かれて同点にされた。90分間で1-1。延長戦の前後半でも決着がつかなかった。磐田は、日本代表GK仙台シュミット・ダニエル(26)にゴールを阻まれたが、PK戦でも好セーブにあって敗戦。2004年以来14年ぶりの4強進出を逃した。

前半9分、パスカットから右サイドを突破したDF小川大貴(27)の右クロスに、FW小川航が反応した。シュート性のボールに滑り込みながら左足を合わせ、ゴールに流し込んだ。待望の今季公式戦1号。両手を広げ、何度もほえた。

前日23日、小川航は「4強に進んで、チームに少しでも良い風を吹かせたい。ゴールだけを目指して戦いたい」と話していた。言葉通り、名波浩監督(45)の起用に応えた。会場では、日本代表とU-21(21歳以下)代表の指揮を兼任する森保一監督(50)が視察。U-21代表復帰をアピールする一撃になった。

その後も小川航を中心に、フレッシュなメンバーが躍動した。21日のリーグ長崎戦から先発11人を総入れ替えした磐田に対して、仙台は3人。リーグ9位につける主力主体の相手に、1歩も引かなかった。名波監督が「我慢する時間が多くなると思う」と分析していた通り、粘り強い守備でリードを死守。カウンターから追加点の機会もうかがった。

だが、後半41分に落とし穴が待っていた。仙台FWジャーメイン良(23)のミドルシュートが、磐田DFに当たってコースが変化。GK三浦龍輝(26)が必死に手を伸ばしたが届かず、ボールはゴールへ。不運な形で同点にされ、試合は延長戦に突入した。

その後も決着はつかず、勝負はPK戦へ。磐田が3人目のDF大井健太郎(34)がセーブされ、5人目のMF宮崎智彦(31)が枠を外したのに対し、仙台は4人が成功。死闘の末に、磐田の準決勝進出はならなかった。【前田和哉】