北海道コンサドーレ札幌のFWジェイ(36)が、3戦連発の2得点でJ1残留と3位浮上を引き寄せた。敵地の名古屋グランパス戦で前半8分にPKを決めて先制し、1-1の同42分に決勝ゴールを奪った。2-1の白星で勝ち点は48となり、クラブ史上初の2年連続J1残留が確定。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場圏内3位に浮上し、シーズン残り4試合でさらに上位をうかがう。

今年も札幌のJ1残留を決定させたのはジェイだった。名古屋サポーターを静まらせた今季初の3戦連発、マルチ弾。昨年残留を決めたアウェー清水戦でも、2得点を挙げて勝利に導いていた。2年連続で節目の一戦の主役となり「自信を持っていた。勝利できて良かった」。札幌サポーターからの拍手と歓声を、心地よさそうに独り占めした。

3度目の雪辱だった。前半8分、DF進藤がペナルティーエリア内で倒されてPKを獲得した。キッカーはジェイ。今季は2度、外していた。心を落ち着かせて左足を振り抜いた。相手GKは左に跳んだ。ボールは右へ吸い込まれた。試合の流れを呼び込む、先制点。「そこまでプレッシャーは感じなかった」と余裕のコメントも、内心はほっとしていた。

36歳のベテランは指揮官とのサッカー談議で向上心をくすぐられた。今月中旬、練習後に2日連続でミハイロ・ペトロビッチ監督(61)に時間を割いてもらい、クラブハウスの外でポジショニングについて意見交換した。

ペトロビッチ監督からは「必ずボールが来るから。我慢して中央で待つんだ」と諭された。だが、自身はサイドの空いたスペースにも走りたい。意見を投げかけた。すると、耳を傾けた上で説明を重ねてくれた。「ミシャは経験がある。若い選手も話し掛けた方がいい」。信頼感は増した。期待に応えたい思いが強くなり、練習に集中できるようになった。

来季をクラブ初の3年連続J1で迎えるのは、目標のACLへの通過点でしかない。「順位をキープするために、みんなで一生懸命頑張りたい」。昨季チーム得点王が、大事なシーズンの終盤で調子を上げてきた。背番号48は、残り4試合、相手チームにとって脅威となる。【保坂果那】

◆札幌J1残留 札幌は勝ち点を48として今季15位以上が確定、クラブ初の2年連続J1残留が決まった。勝ち点29の18位長崎は残り4試合を全勝しても勝ち点41。勝ち点33で並んでいる16位鳥栖と17位柏は、やはり残り4試合全勝でも勝ち点45。28日時点で長崎と鳥栖、柏の3チームは最終順位で札幌より下位が確定した。