J1は今節含め、残り4試合となった。鹿島アントラーズが、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝に進出したため10月31日に前倒しで開催されたセレッソ大阪戦で、先発9人を入れ替えた若手主体の陣容で1-0で勝利。勝ち点を49に伸ばし、ACL圏内の暫定3位に浮上した。

上位陣は、川崎フロンターレが勝ち点60で首位、3連敗を含む1分け4敗と苦闘が続くサンフレッチェ広島が、勝ち点4差の2位で追う。北海道コンサドーレ札幌は、台風で延期となっていた10月28日の第18節・名古屋グランパス戦に2-1で勝ち、クラブ初の2年連続J1残留を決め、鹿島と勝ち点1差の4位、札幌を5位FC東京が勝ち点2差で追う。東京と6位の浦和レッズ、浦和と7位のC大阪、C大阪と8位の清水エスパルス、清水と9位ベガルタ仙台の勝ち点差はそれぞれ1と、上位争いは大混戦だ。

一方、残留争いも熾烈(しれつ)を極める。勝ち点29で18位のV・ファーレン長崎と、4差の同33で17位の柏レイソルがJ2自動降格圏、柏を得失点差で1上回るサガン鳥栖が、プレーオフ圏の16位につける。

自動降格&プレーオフ圏と、その上との差も接近している。鳥栖を勝ち点で1上回る名古屋が15位、10月27日に横浜F・マリノスに勝ってルヴァンカップを初制覇した湘南ベルマーレは、同30日のジュビロ磐田戦に0-1で敗れ、名古屋と勝ち点2差の14位に後退。逆に磐田は、湘南と勝ち点1差の13位に浮上した。磐田と勝ち点で並ぶ12位ヴィッセル神戸、神戸と同1差の11位横浜、横浜と同1差の10位ガンバ大阪まで、最下位の長崎から勝ち点10の中に9チームがひしめき合う。

今節の注目は、優勝&残留争いを大きく左右しそうな川崎と柏の1戦だ。J1の過去の対戦成績を見れば、川崎Fが直近では2勝1分けと3戦無敗をキープしているが、J1での通算成績は9勝5分け11敗と分が悪く、柏を苦手にしてきた。ホームでも5勝3分け4敗とほぼ五分の成績で、公式戦で見ても17年10月の天皇杯準々決勝でホームで0-1で敗れたことも記憶に新しい。

川崎Fにとっては、10月24日の天皇杯準々決勝でJ2のモンテディオ山形に2-3で負けた影響も気掛かりだ。優勝を狙い、ほぼベストメンバーで臨みながら、GKチョン・ソンリョンの退場で数的不利になり、敗戦。チョンは柏戦は出場停止だ。

一方、柏は10月19日に残留争いのライバル名古屋にホームで0-1と敗れ、同戦で退場したDF高木利弥が出場停止となるが、そこから2週間がたつ。メンタル含め、どこまで立て直せているか…J1生き残りのために、負けるわけにはいかない。

柏と残留を争う鳥栖が、ホームに長崎を迎え撃つ残留争い“裏天王山”も注目だ。長崎が今季J1に昇格し、3月に長崎のホームで初対戦した試合は2-2で引き分けた。公式戦では、その後、ルヴァン杯1次リーグで2試合戦ったが、長崎のホームで対戦した4月の初戦は3-2で長崎、鳥栖のホームで対戦した5月の試合は2-1で鳥栖が勝利と五分の成績だ。長崎は負けて鳥栖と柏との勝ち点差が7に開いてしまうと、残留がさらに厳しくなる。7月に加入し、最終ラインで強烈なリーダーシップを発揮する長崎DFヨルディ・バイスが、夏に鳥栖に加入した元スペイン代表FWフェルナンドトーレスとFW金崎夢生を、いかに封じるかが生命線となりそうだ。

広島は、リーグ戦ではここ4試合で2勝2分けの磐田とアウェーで対戦する。0-1で負けた16年4月のアウェー戦を挟み、その前も2連勝を含む4勝3分けと7戦無敗を続けており、相性は良い。川崎Fにこれ以上、離されたくない状況だろうが、残留争いの渦中にある磐田も、一歩も引くわけにはいかない。