ジュビロ磐田のJ1残留が見えてきた。ホーム・サンフレッチェ広島戦の終了間際、FW小川航基(21)がPKを決めて、3-2の劇的勝利。勝ち点は残留の目安となる40に達した。2点を追う後半20分から、FW川又堅碁(29)とDF桜内渚(29)のゴールで同点。小川航は重圧の中、PKでJ1初得点を決めた。今季3度目の連勝で暫定12位に浮上した。

ラストワンプレーが、歓喜をもたらした。2-2の後半ロスタイム。CKからの混戦でDF高橋祥平(27)が倒され、PKを獲得した。FW小川航は、ボールを手にしてセットした。「外すことは全く考えなかったです」。サポーター、スタッフ、選手が祈る中、右足でゴール右下に決めた。瞬間、小さくガッツポーズ。ヤマハスタジアムが大歓声に包まれる中、試合終了の笛が鳴った。

2点差からの逆転勝利は、2002年以来16年ぶり。執念でつかんだ勝ち点3で、J1残留の目安の40に達した。笑顔で会見場に入った名波浩監督(45)は、正直に思いを語った。「残留は確定してないし、まだやることはたくさんあります。ただ、1つミニハードルは越えられたのかなと思います」。

10月7日、清水に1-5で惨敗した。5戦勝ちなしになり、J1残留争いに足を踏み入れた。その後、MF中村俊輔(40)とDF大井健太郎(34)が声を掛けて、チームの決起集会を開いた。「一緒に食事しただけ。でも、練習からコミュニケーションを取りやすくなったりもする。何かが変わるきっかけになればと思った」と大井。さらに固まった結束力は、この日も形になった。

後半4分、DF小川大貴(27)が腰痛で交代。同27分には、FW川又も右太ももを痛めて負傷交代した。それでも、代わって入ったDF桜内が同点弾を決めるなど、全員で負け試合をひっくり返した。「一丸で取った勝ち点3でした」。小川航の言葉通り、崖っぷちからはい上がった。

決起集会後の3試合は負けなし。J2自動降格圏の17位柏との勝ち点差は「7」に広がった。チーム主将の桜内は「ホームで連勝できたことはでかい」と言った。残り3試合。J1残留は目の前だ。【前田和哉】