今季限りでの現役引退を発表した清水エスパルスMF兵働昭弘(36)が6日、静岡市内のクラブハウスで会見に臨み、感謝の言葉を口にした。05年に清水でプロキャリアをスタートさせ「いろんな人の支えでここまでこれた」。思い入れの強いクラブでの引退を決意したベテランは、プロ生活14年間の集大成となる残り3試合で全てを出し切る。

冷たい雨が降る中でも、表情は晴れやかだった。兵働は引退発表から一夜明けた練習で笑顔を見せながら普段通りのメニューを消化。練習後の会見では時折目頭を押さえながら、クラブへの感謝の思いを語った。「清水でプロを始めて、清水で終わることができるのは、選手冥利(みょうり)に尽きる。多くの人の支えでここまでやれた」。

05年に加入した兵働は精度の高い左足を武器にレギュラーに定着。09年から2年間は主将も務めた。だが、11年に柏へ完全移籍。その後は甲府や大分などでプレーし、今季8シーズぶりに清水に復帰した。1度クラブを離れたことで批判も覚悟していたが、温かく迎え入れてくれたサポーターの思いが胸に響いた。

「僕自身は戻してもらった身。戻ってきてくれて感謝されましたが、僕の方がありがたかった」。現役続行への思いもあったが、先月中旬にクラブから来季の契約を更新しない旨を伝えられた。「もう1度違うクラブにいって、高いモチベーションでできるのかを考えた時に、その自信はなかった」。悩んだ末の決断にも「悔いはないです」とはっきりと言った。

思い出の試合は09年磐田との静岡ダービー。自身も得点した試合で5-1の大勝を収め「大観衆の前で決められたことがうれしかった」と振り返る。来季以降については未定で今後クラブと話し合っていく。今季も残り3試合。兵働は「戦力としてチームに貢献したい」。プロ生活14年。その半分の計7年間を過ごした清水で最後に勇姿を見せる。【神谷亮磨】

◆兵働昭弘(ひょうどう・あきひろ)1982年(昭57)5月12日、千葉県生まれ。筑波大から05年に清水に加入。柏など5クラブでプレーし、今季清水に復帰。J通算375試合出場32得点。180センチ、73キロ。