6月に腰の手術を受けて戦線を離脱していた、浦和レッズの元スロベニア代表FWズラタン(34)が湘南ベルマーレ戦の後半32分に途中出場し、4月4日のYBCルヴァンカップ・サンフレッチェ広島戦以来、7カ月ぶりに公式戦に出場した。

ズラタンは後半32分にFW興梠慎三(32)が1点差に迫るゴールを決めると、興梠のゴールをアシストしたFW武藤雄樹に代わってピッチに立った。ズラタンが1トップ気味に前線で体を張ると、ボールが収まりだし、浦和はロスタイムの4分を含め、終了まで湘南を押し込み続けた。

186センチ、80キロの大きな体を生かしたパワーあふれるプレーを披露し、存在感を見せた。「プレーが恋しかった…負けるのは恋しくないけれど。戻って来られて良かった。ただ戻っただけでなく、チームに少しでも力になろうと頑張った。残念な結果だったけれど、これからもチームを助けていけるんじゃないかと思う」と手応えを口にした。

さらに「大きな決定機を作ることが出来ていなかった中、自分が入ってタメを作ったりプレー機会がドンドン増えた。ペナルティーボックス内でクロスが入ると、自分のような背の高い選手がいると相手の脅威になると思った。だから監督は使ってくれたと思うし、期待に少しは応えられたと思う。この5、6カ月間、1日も早くも取ろうと頑張った。その成果が出ている」と笑みを浮かべた。

この日、チームはアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場圏内の3位入りが絶望となり、天皇杯制覇にACL出場権獲得の最後の可能性をかけるしかなくなった。ズラタンは「リーグ戦は残り1試合、天皇杯は勝てば2試合、戦える中、戻ってこられて本当に良かった。チームは絶対、天皇杯を勝ってやろうというモチベーションが高いしチームを絶対、助けようという気持ちは、自分は誰よりも強い。監督の助けになるし、チームメートのために、どんどん力を出したい」と意気込んだ。

その上で「昔、師事したコーチ、監督からは『90分、プレーする選手よりも、10分出て結果を残す選手の方が、時に大事なことがある』と言われてきた。自分は、そうした存在だと認知しているし、良いイメージを持って試合に臨んでいます。自分の高さを使えば、チームをより向上させることが出来ると思う。苦しんでいる時こそ、僕のような選手が出てチームを助けたい」と、ACL出場権獲得へ崖っぷちの浦和の救世主になることを誓った。【村上幸将】