J2降格危機に直面していた鳥栖は、最終戦の引き分けで14位となり残留を決めた。MF高橋義希(33)は「勝ち点を取ることだけを考え、勝ちにいった」と言い、この日もキャプテンマークを巻いた元スペイン代表FWフェルナンドトーレス(34)を軸にACL王者の鹿島に善戦した。

後半途中で交代したフェルナンドトーレスは試合後「最後はホッとした。ロッカールームで選手の顔を見て幸せになった」。スタンドの鳥栖サポーターも泣くほど激動のシーズンをJ1残留で締め、安堵(あんど)の表情だった。

今季は、2度のサポーターミーティングで竹原稔打(57)への辞任要求が飛び出すなど、同社長が「私が(社長として)来てから1番難しい年になった」と振り返る成績不振に陥った。打開策として、フェルナンドトーレスや鹿島から元日本代表FW金崎夢生(29)を補強。さらにはリーグ戦5試合を残し、マッシモ・フィッカデンティ監督(51)の解任にも踏みきる荒療治で、なんとか踏みとどまった。

来季は年間6億円のスポンサー契約を結んできたCygames(サイゲームス)が今季限りで撤退するのではと問われた竹原社長は「撤退があってもクラブは変わらず前に進み、愛されるクラブづくりをしていきます。タイトルを取ることに挑戦していきたい」と切り替える。

同社長はフェルナンドトーレスに対して「鳥栖というチームを愛してくれている。九州の街が好きなのは事実なので、いろんな(移籍)報道が出ているが、他のチームに行ったりすることはない」と断言。同選手も去就を問われ「鳥栖が大好きだし、もう1年鳥栖でプレーしたいと思っている。活躍できれば」と早くも残留を宣言した。来季は大型戦力を軸に再構築を図り、今季の屈辱をバネに高みを目指す。