日本のリオデジャネイロ・オリンピック(五輪)代表監督とワールドカップ(W杯)ロシア大会代表コーチを務め、来季からJ2V・ファーレン長崎を率いる手倉森誠新監督(51)が7日、佐世保市内で就任会見を行った。親会社ジャパネットたかたの名物通販イベント「利益還元祭」に引っ掛け「五輪とW杯の経験を“還元祭”する」と宣言。世界基準を植えつけながら1年でのJ1復帰、代表輩出を公約した。

やはり、ライフワークのダジャレで会見は幕を開けた。約50人の報道陣を前に「まだ会場の雰囲気は硬いけど“固い”決意を語ります。日本を代表するクラブになる、という長崎の“長い先”のビジョンを聞き、俺の出番だなと。圧倒してJ2を制し、1年で帰ります、J1に」と約束した。

6年ぶりJ復帰。五輪とW杯の経験をどう生かすか聞かれると、高田明社長を横目に「“還元祭”します」。地域リーグ、JFL、J3、J2、J1、五輪、W杯と歩んできた経験は豊富で「見ていて楽しいサッカーもしたいけど、今はJ1に戻ることが最優先。(仙台で09年に)J2を制した時もそうだったが、タフで我慢強い戦いがJ2では必要」と現実を知る。長崎は1年で降格したが「J1に残し、優勝争いした経験(12年2位)」が手倉森新監督にはある。「長崎も、数年以内にJ1で優勝争いできるチームにしたい」と再現の自信がみなぎった。

「勝てない世代」と言われたリオ世代をアジア王者に導き「今のA代表にはリオ世代が多い。(確かな指導で)谷間ではないことを証明した」自負もある。目指すはW杯の日本代表で「持久性、機敏性、連動性という日本人の特性を生かした全員攻撃、全員守備が理想。選手はJ2であれ代表を意識してほしいし、長崎から代表選手を出したい」と輩出もノルマに掲げた。

所属するリオ五輪代表FW鈴木とは会見前日に再会し、残留要請するなど正式就任(来年1月)の前から精力的。2年半ぶりの監督復帰に高揚したのか「本拠トラスタでは勝ち点3を“取らせた”くない」と最後まで笑わせた。久々の会見を満喫しながら、1年でのJ1復帰はしっかり約束。「言」うを「成」すのが手倉森「誠」だ。【木下淳】

◆手倉森誠(てぐらもり・まこと)1967年(昭42)11月14日、青森県五戸町生まれ。現役時代、双子の弟浩と「キャプテン翼」の立花兄弟のモデルになった。86年に住友金属入り、95年にNEC山形で引退。山形、大分、仙台コーチを経て08年から13年まで仙台監督。14年にU-21代表監督に就任した。家族は妻と2女。173センチ。血液型A。