今季限りでの現役引退を発表した鹿島アントラーズの元日本代表MF小笠原満男(39)が28日、ホームのカシマスタジアムで会見を行った。

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17年正月。宮城県松島町で「東北人魂カップ」が開催された。東日本大震災後、東北出身のJリーガーたちが東北地方のサッカー復興のために発足させた団体で、少年サッカーのカップ戦を開いた。発起人の1人である小笠原は試合後、自身が立ち上げた少年サッカーチーム「レノヴェンス・オガサFC」の選手を集めた。「何で負けたか分かるか?」。まなざしはJリーグの試合の時と同様だった。「試合に向けた準備が甘い。勝つために何をしなくてはいけないか。そうしたら笑ってタラタラやってる時間はないだろ」。子どもたちが目に涙を浮かべるほどの迫力だった。

当時は高校生になる娘に携帯電話を持つことも認めていなかった。「話したければ走って会いに行けばいい。顔を見て話せば、より気持ちは伝わるから」。厳格さの中に、成長を本気で願う優しさに満ちた男だ。【16、17年鹿島担当=鎌田直秀】