サッカーのJ3リーグが3月9日の藤枝対福島を皮切りに開幕する。今季は18チームが参戦し、うち4チームが東北勢。青森県初のJクラブとなった八戸ヴァンラーレは、新加入選手9人、指揮官に大石篤人監督(42)を招いた新体制で船出する。12月までの長丁場で34試合を戦い、将来的なJ2、J1昇格を期して3月10日、アウェーでG大阪U-23とのJ初試合に臨む。J2ライセンスを保有する秋田は、昇格条件となる2位以上に挑む。

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東日本最後のピースを埋めた青森代表のJクラブを旗頭に、港町が活気づく。八戸イレブンは厳しい寒さが続く地元を離れ、8日から18日までの沖縄キャンプで調整した。選手は昨季から3人増えた28人で、うち9人が新加入だ。大石監督は「どの選手も個性があり、伸びしろの高い選手ばかり」と自信を見せた。

攻守を組み立てる中盤のMFは5人が加入。日高慶太(29)は12~15年までの山形、昨季まで3年所属した秋田に続く、東北Jクラブでは3チーム目となる。叔父に日本サッカー協会の田嶋幸三会長(61)を持ち、「プロ8年目でずっと東北のチーム。慣れたと言いたいけど、この前も雪道で坂を車で上れなかった」と苦笑いしながら、「東北の人の温かさ、ご飯もおいしいですし、この青森で新たな出会いが楽しみ。青森の魅力を知って、広めていけたら」と誓った。

MFではその他にも、青森山田出身の三田尚希(26)、昨季まで藤枝で大石監督のサッカーを知る小牧成亘(26)、昨季J3盛岡で15試合に出場した河津良一(26)、J通算116試合出場の宮崎泰右(26)と、いずれも20代半ばで運動量豊富な新戦力を集めた。

FWでは、大石監督が「得点王を目指してもらいたい」と期待を寄せる上形洋介(26)が新エースの座を狙う。21日には、FC今治(JFL)から佐保昂兵衛(25)も「新たなステージに挑戦する機会をいただいたことに感謝し、常に『全緑』でチームのために戦います」との意気込みを胸に、最後のピースで加わった。DFでは、5日に佐藤和樹(25)の加入が発表された。前監督で昨季の昇格に尽力した葛野昌宏強化部長(43)は「選手が向上心を持っているかを基準に。何ができるのかとビジョンを持っており、新監督のサッカーをしっかり表現できること」と、編成の狙いを説明した。

今季のスローガンは「GO STRAIGHT 全緑2019」。ヴァンラーレの頭文字「V」をチームカラーの緑で大きく描き、「全力」の言葉とかけた。16年に本拠地ダイハツスタジアムの完成に伴ってJ3ライセンスを交付され、昨季はJFLの年間順位3位で昇格条件の4位以内をクリア。創設13年目で悲願のJリーグ加盟を勝ち取った。葛野強化部長は「スローガンの『全力をストレート』のように、1つの目標に向かってひたむきに」と言葉に力を込めた。

そして大石監督がJデビュー元年を束ねる。昨季まで藤枝で4季計130試合を指揮。J3の戦いを知り尽くす。理想のサッカーには「選手が躍動感を持ち、自分たちのアイデアを豊富に持った、見る人も楽しいサッカーを」と掲げた。そして「攻撃的な守備と積極的な攻撃をやっていきたい。昨年つくってきたものにプラスアルファ、新しい風を入れていければ。この八戸という地域をサポーターの皆さんと盛り上げていきたい」と期待を胸に、J1昇格に向かって荒波に立ち向かう。【中島正好】