ヴィッセル神戸に激震が走った。神戸は17日、フアン・マヌエル・リージョ監督(53)の意向で同日付で契約を解除したと発表した。クラブが掲げる「バルセロナ化」の推進者として、昨季途中に電撃就任。今オフに大型補強を行ったが3勝1分け3敗の10位と出遅れ、就任発表から7カ月で自ら断を下した。後任は昨季途中まで率いた吉田孝行監督(42)が再び就く。ルーカス・ポドルスキ(33)もツイッターで主将“辞任”を表明した。

引き金は14日のサンフレッチェ広島戦だった。2-1とリードしながら、後半20分からわずか8分間で3失点の屈辱的な逆転負け。神戸の三浦淳寛スポーツダイレクター(SD、44)によると、試合後に行うミーティング中にリージョ監督から辞任の意向が伝えられたという。

「すごく優秀な監督だから、自分の成績に対して恐らく(責任をとる)考えがあったと思う。家族のことも、両方ではないか」と三浦SDは説明した。この日、クラブハウスで選手に別れを告げたリージョ監督は「人生は難しい決断をしないといけない事もあります。私と家族にとってはベストだと思いました」とクラブを通じてコメントした。

ビジャ、山口蛍、西大伍ら今オフ、代表クラスの大物を次々と獲得したが、7試合で指揮台から下りる。山口は「自分たちにも責任があると思う」と言った。

「バルサ化」のタクトは吉田監督に渡った。昨年9月、リージョ新監督発表を受け、事実上の解任となった。「戸惑いはあったが、クラブを支える強い気持ちは変わらない。指名されたらやらなきゃいけない」と決意表明。20日はアウェー浦和レッズ戦。2連敗中、最近3試合で計9失点の守りを「修正しないといけない」。

リージョ監督のサッカーと「ポゼッションのやり方は同じ」と吉田監督は継続を強調する。だが、ポドルスキは「バルサ化のコンセプトはあるが、やり方は変わる。継続性はなかなか簡単ではない」と指摘した。

そのポドルスキも、自身のツイッターで「キャプテンの座から降りることになりました」と表明した。親しい関係者によると、最近のチーム状況に「もっと若い選手が奮起しないといけない」と言い、引き際を考えていたという。

成績的には、まだ「5割」での大刷新。浮上か、監督交代を繰り返してきた負の歴史か。神戸の真価が問われる。【実藤健一】

◆スピード監督交代 J1では開幕2試合が最速。04年のセレッソ大阪はムズロビッチ監督を新監督に迎えたが開幕2連敗で解任した。12年のガンバ大阪はセホーン監督を就任初戦から3連敗で解任。16年の柏レイソルもミルトン・メンデス監督が開幕から1分け2敗の3戦で辞任している。J2では06年の横浜FCの安達勇輔監督が開幕戦の1試合だけで解任された例があるが、安達監督は采配2年目だった。