青森山田のMF武田英寿主将(3年)が19日、青森市内の同校で会見し、来季からJ1浦和レッズに入団することを発表した。

昨年度の全国高校サッカー選手権では、2年生で唯一スタメンに名を連ね、司令塔として2大会ぶり2度目の日本一に貢献。日本高校選抜、U-18日本代表でも活躍した高校サッカー界屈指のレフティーは、浦和から世界に羽ばたく。

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高校サッカー界屈指の司令塔が、浦和から世界への扉を開く。武田は真っ赤なユニホームに袖を通すと、ピッチでの熱い表情とは対照的に笑顔をはじけさせた。「夢だったプロサッカー選手になれたこと、プロとしてのキャリアを浦和レッズでスタートできることを大変うれしく思います」と喜びを口にした。

決め手は熱意だった。昨年4月のプレミアリーグ開幕戦から長山スカウトが密着。成長を見守り続けてもらい、3月に正式オファーが届いた。「熱く誘ってくれた。レッズのために全力を尽くして、少しでも早く世界で活躍できる選手になりたい」と決意表明した。

英寿という名は、当時セリエAや日本代表で大活躍していた中田英寿氏(42)からつけられた。父修一さん(46)、母さおりさん(45)がともにサッカー好きで「世界で活躍してほしい」との願いが込められた。小6でプロを決意し、日本一を目指し中学から青森山田にやってきた。会見を見つめた修一さんは、「浦和さんのようなビッグクラブに入るなんて夢のよう。青森に来てたくさん学ばせていただいて感謝しかない」と感激の面持ちだった。

長山スカウトは「パスの選択肢を2つ3つ持っていて、決めないで変えられる感覚がすごい」とほれこむ。中村GMは「左利きであれだけテクニックがあって、左独特のタメやキックが魅力」。そして「今年に入り、テクニックの上に戦う姿勢が上積みされた。日本を代表する選手になれる。厳しさと愛情を持ってしっかり育てていきたい」と責任を持って金の卵の成長をバックアップする。

青森山田のエースナンバー10を背負う主将は、総体、プレミアリーグ、選手権の年間3冠を目標とする。進路が決まり、「史上最高のキャプテンと言われるような結果を残したい」と迷いなく目の前の戦いに向き合う。黒田剛監督(49)は「中学で来た時は体も細く小さく、ここまで成長するとは想像していなかった。もう一回り大きくして送り出してあげたい」。残りの高校サッカー人生でさらなる成長をとげ、プロの世界に飛び込む。【野上伸悟】

◆武田英寿(たけだ・ひでとし)2001年(平13)9月15日生まれ、仙台市出身。4歳からソニー仙台のスクールでサッカーを始め、中野栄小2からなかのFCでプレー。小3でベガルタ仙台ジュニアに入団。「少年団の泥臭さが好きだったのと、学校の仲間と一緒にプレーしたかった」と小5秋から再びなかのFCに。青森山田中では2、3年時に全国中学V。青森山田高では1年時に県選抜で国体4強。昨年度の全国選手権で優勝し、大会優秀選手に選出。日本高校選抜、U-18日本代表。家族は両親と姉、妹。177センチ、65キロ。