ガンバ大阪がMF矢島慎也(25)の移籍後初ゴールで清水に競り勝った。0-0の後半43分、ゴール前のこぼれ球を冷静に決めた。エースFWファン・ウィジョ(26)は、この試合を最後に仏1部リーグのボルドーへの移籍が決定的になった。そのウィジョに贈る白星。ウィジョは試合後、サポーターの前で仲間から胴上げされて送り出された。

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“時間切れ”寸前で苦労人が勝利を呼び込んだ。G大阪が圧倒的にボールを支配し、押し込みながら0点で迎えた後半43分。ゴール前のこぼれ球をフリーで受けたMF矢島が、右足でたたき込んだ。「いいボールがきたんで、何も考えずに蹴った」。移籍2年目待望の初ゴールが、勝ち点3をもたらす大仕事となった。

「点が取れてホッとした感じはあります。インサイドハーフで使われるようになって、2列目は点を取らないといけないし。ボテボテでも、いいところにいってくれた」

昨季、浦和から完全移籍で加入した。しかし、出場機会に恵まれず、6月に仙台へ期限付き移籍。その仙台でもケガに泣き、リーグ戦出場は5試合にとどまった。苦しんだ経験があって今がある。しかし、昨季の経験が生きたか問われた矢島は「絶対にない。昨年の経験なんていらないし」と言い切った。苦しんだ過去は過去。すべてから脱却して今季のピッチに立つ。

昨季までの守備的から攻撃的な位置に変わり、攻めを組み立てる。「2トップを動かしていくイメージ。アンカーでも今も精度の高いプレーを目指しているが楽しい」。新たな攻撃の要が、ようやくG大阪で存在感を示した。【実藤健一】