北海道コンサドーレ札幌MF小野伸二(39)がJ2・FC琉球に完全移籍することが4日、分かった。

14年6月に当時J2だった札幌に加入。昨季J1で史上最高4位の成績を残すまで急成長したクラブの発展を、ピッチ内外で支えた。自身最長6年目を迎えたクラブへ思い入れはあるが、ワールドカップ(W杯)3度出場の元日本代表が、自身7つ目のクラブで新たな挑戦の道を選んだ。

小野は札幌・宮の沢での練習後「沖縄からJ1に上がることを目標として、それが達成できたら、こんなに楽しいことはないと思う」と琉球への移籍理由を明かした。自身のキャリアでは最長の在籍6年目を迎え、思い入れはある。それでも「最北端から最南端というすごい移動距離だけど、北も盛り上がったので、南もこれから盛り上げに、お手伝いできれば」と思いを口にした。

14年、ウェスタンシドニーからの加入時、札幌はJ2だった。野々村社長からの誘いを受けたのは、J1昇格と「見ている人が楽しいと感じるサッカー」を目標に掲げる理念に、やりがいを感じたから。16年J2優勝、昨季はペトロビッチ監督のもとJ1で4位。数字にも表れているクラブの成長に「在籍している間に現実になったのは、すごくうれしい」と満足そうに話す。この5年間で感じた達成感を、今度は現在J2で17位の南国のクラブで再び求める。

世界を知る「天才」が、チームに与えた影響は大きい。同社長は「あいつのサッカーのうまさは、若い選手にとっても衝撃的だった。MF荒野や深井が一緒に練習をやりたくないって言うくらいの」と振り返る。「(若い選手が)うまさではなくて、どう戦うかとか、10キロしか走れなかったのが12キロ走れるようになるとか。そういうところに気づいたのは、伸二がいたおかげ」。だからこそ「感謝しかない」と、理解を示し快く送り出す。

10日のホーム浦和レッズ戦が札幌での今季ラストゲームとなる。「最後の試合に少しでも関われれば。1週間自分をしっかりアピールして、精いっぱいやるだけです」と今季リーグ戦初出場での締めくくりを描く。琉球には13日に合流予定で、早ければ17日のホーム横浜FC戦で新天地デビューとなる。

◆小野の経歴 清水商卒業後の98年に浦和でプロ生活をスタート。01年フェイエノールト(オランダ)に移籍し、06年に浦和に復帰。08~10年ボーフム(ドイツ)、10~12年清水エスパルス、12~14年ウェスタンシドニー(オーストラリア)に在籍し、14年に当時J2の札幌入りした。日本代表で56試合6得点、W杯には98、02、06年の3大会に出場。