横浜F・マリノスの15年ぶりVを、前回優勝時の監督だった岡田武史氏(63=FC今治オーナー)が喜んだ。03、04年に2連覇した元日本代表監督が日刊スポーツに祝福メッセージを寄せ、タレントぞろいだった自身の時代より「試合内容がいい」と絶賛。25年のJ1優勝争いを目指す、来季J3に昇格する今治との夢対決も思い描いた。(聞き手=木下淳)

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横浜の皆さん、マリサポの皆さん、おめでとう。自分たち以来の優勝。うれしいし、心から祝福したい。以前のような日産自動車の全面バックアップが難しい中、サポーターに支えられての優勝。本当に価値がある。お祝いに駆けつけたかったが(FC今治の経営で)人様を見る余裕はなく。会場には行けなかったけれど満杯になったスタジアムの雰囲気は強烈で今でも忘れられないし、今日も同じだったはず。迫力ある後押しを受けての頂点。喜ばしい。

試合は見られる時にDAZNで見ていたが、自分の時より内容がずっと良くて面白かった。両サイドバックが自由に逆サイドまで行くので、全体のバランスを取るのが難しいサッカー。(12位の)昨季は裏目に出た感があったが、よく貫いた。シティの情報網もさすがだ。外れが少なく外国籍選手の質が高かった。前線はもちろん、センターバックのチアゴ・マルチンスが抜群。あの戦術はDFの中央に強い選手がいないと成り立たない。理にかなった補強でクラブの成功。昔の方が選手に名前はあったかもしれないが、仲川のように当たった日本人がいて良質な外国人とマッチした。

マリノスは、自分の監督人生で最もうまくいったと言えるクラブ。思い入れは強い。2連覇した時は個性が強かったよ。マツ(松田)や上野に、安貞桓や柳想鉄という日韓のスター。どちらかを外す決断は悩まされたが、最後は一丸になってくれた。優勝パレードでは(当時会長の)ゴーンから「フェアレディZ」10台を贈ると言われ、怒ったことを思い出す。「その10人を誰が選ぶんだ」と。結局はバスに変えてもらった。

15年ぶりの優勝は最長ブランクと聞いた。マツや(中村)俊輔の移籍に(中沢)佑二の引退などあったが、正直15年は長い。あえて言えば新陳代謝はもっと早くて良かった。歴代の主力は人間性もプレーも疑いようがないが、不思議なもので変化なきチームは伸び悩む。04年から残るのが(栗原)勇蔵だけになった今だからこそ勝てたのかもしれない。

来季は今治がJ3に上がる。まだ太刀打ちできるイメージは湧かないが(25年までに)J1で優勝争いする目標がある。いま育てている選手を、マリノスとも戦えるレベルにしていきたい。(03~06年横浜監督)