仙台育英(宮城)が30大会ぶり6度目の8強進出を決めた。日大藤沢(神奈川)戦は0-0のままPK戦に突入し、9-8で制して勝利。先蹴りの8人目を止められたが、直後にGK佐藤文太(3年)が右横っ跳びでセーブ。10人目も止めて勝負を決めた。

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仙台育英が初戦の五條(奈良)戦に続くPK戦を制した。ともに7人目まですべて成功させた8人目。DF中川原樹(3年)が止められ、窮地に陥った。だが、1年時から正GKの佐藤文がビッグセーブ。振り出しに戻し、9-8から最後の10人目も右横っ跳びのパンチングで止めた。一目散に応援スタンドに駆け寄り、喜びを爆発させた佐藤文は「PKで勝つつもりだった」と守護神の務めを果たした。

就任11年目の城福敬監督(62)もPK戦を想定し、後半11分から3選手を交代。ロスタイム突入後はDF小林虎太郎主将(3年)に代えてFW中山陸(3年)を投入した。「(PK戦は)サドンデスになってもいいような布陣にした。最後はGKと決めていた。文太は1本は止めてくれると思っていた。(失点)0でいけたのが何よりの勝因」と守備の粘りを評価。2回戦を3-1で勝ち上がった攻撃力のある日大藤沢に対し、「とにかく離れるな。ついていけ」と指示。何度もゴール前を脅かされたが、総力戦でしのぎ切った。

5日の準々決勝では、チーム記録に並ぶ55大会ぶり3度目の4強進出を懸けて帝京長岡(新潟)と戦う。Jチーム入り内定3選手を擁する難敵だ。初戦は2反則で退場し、この日はPKを外した中川原は「文太にしりをふいてもらった。次は無失点に抑えてゴールも決めたい」と汚名返上に燃える。城福監督は「55年ぶり? 僕が7歳の時、かくれんぼして遊んでいた時代だよ(笑い)。僕たちは雑草軍団。子供たちは成長している。もっと魅了するプレーを見せたい」と期待した。【佐々木雄高】