センターバック(CB)とボランチの“二刀流”でレギュラー争いに参戦する。J1ベガルタ仙台DF吉野恭平(25)は仙台市出身で、J1サンフレッチェ広島から今季加入した。

ベガルタのサッカースクールに小学校の6年間通った生粋の地元っ子。戦う姿勢と足元の技術を生かし、縁あるクラブで再出発する。チームはキャンプ地の沖縄・糸満で、オフ明けの22日は午前午後の2部練習を行い、シュート練習やミニゲームなどのトレーニングを行った。

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吉野は登録上はDFだが、キャンプではCB、ボランチ両方で練習し、2つのポジションでのプレーを見据える。「どっちも特長がなくて、(木山)監督も悩んでいるかもしれないです(笑い)。攻撃が好きなのでボランチもやりたいし、CBでも戦いたい気持ちがある。プロに入ってからずっと悩んできた課題なので、まだ分からないです」と率直な思いを語った。

J1東京と対戦した20日の練習試合では、DFシマオ・マテとCBコンビを組み、チームを統率した。さらに攻撃組み立てにも積極的に参加し、技巧派集団の東京ヴェルディユースで高校3年間培った技術の高さを披露。仙台が今季目指す最終ラインからボールをつなぐスタイルを体現した。

昨季は広島で3バックの真ん中でプレー。開幕6試合でわずか1失点の堅守を支え、12試合連続で先発した。しかし、徐々に出番が減り、8月以降のリーグ戦では出場ゼロ。不完全燃焼のままシーズンを終えた。「1年通して試合に出てチームの力になりたい。去年は途中から出られなくなったので、今からしっかり追い込んでいきたいと思います」と気持ちを高めた。

仙台は幼稚園の年中から試合観戦に訪れていた憧れのチーム。親子3人で通ったユアテックスタジアム(当時仙台スタジアム)に、トップチームの一員として立つ機会が訪れた。「『やっとオファーをくれた』と思いました。いつかはプレーしたいと思っていたので、自分のできることをやろうと頑張ってきて良かった」。CBとボランチの“二刀流”吉野が、熱いプレーで故郷に恩返しする。【山田愛斗】