北海道コンサドーレ札幌がサガン鳥栖を3-0で下し、今季公式戦の幕開けとなった1次リーグ初戦を白星で飾った。

キャンプから取り組んできた前線からのハイプレスは機能したとは言えないが、セットプレーから2点を奪い、試合終了間際のロスタイムにもダメ押しの追加点。就任3年目のミハイロ・ペトロビッチ監督(62)の下、着実に上積みされたチーム力でシーズン初勝利をつかんだ。

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「ミシャ札幌」が3年目にして初めて開幕戦で勝利した。3-0。スコア上では快勝だが監督、選手ともに表情は堅い。「非常に難しいゲームだった。ビルドアップがスムーズにできず、前に質の良いボールを出せなかった」。試合後のペトロビッチ監督の口が重かったのは、それだけ3年目の進化に期待しているからこそ。裏返せば、内容が悪い中で結果を残したことが、チームの成長を物語っていた。

目指す形の片りんは見せた。前半14分、FWジェイの先制弾を生んだ左CKは、敵陣深い位置で相手パスを奪ったMFチャナティップ起点の攻撃から生まれたもの。「プレッシャーをかけて思い切ってできていた」とMF鈴木はいう。1月のタイキャンプから磨いてきたハイプレスから先制できたことは選手たちの自信となる。加えて、チームの“看板”でもあるDF福森の左足FKから追加点が生まれ、昨季チーム得点王の鈴木がダメ押し弾を決めるなど、苦しい試合を何とかできる「個」の力も見せつけた。

とはいえ、内容が悪かったのはまぎれもない事実。シュート数は9本対13本、CKに至っては2本対12本。今季新加入14人の新しいチームに、昨季ベースからの底上げを狙うチームが押し込まれた。リベロで先発したDF宮沢は「0点につながったのは良かった」と粘り強い守りは評価した上で「ビルドアップしてつないでいくことはキャンプ中の練習試合を通してできていない」。課題は、山積み。改善すべき点は多岐にわたる。

ペトロビッチ監督は、それら全てを飲み込んで「選手たちがしっかりと自信を持って、次の試合にいってくれる」と白星発進を喜んだ。振り返ってみれば、1年目はリーグ戦、カップ戦ともに黒星発進。2年目もリーグ戦は敗れ、カップ戦は引き分けだった。そこからチームを磨き上げ、クラブ史を塗り替える結果を残した。理想とする展開で奪った1勝ではない。ただ、この1勝を、常勝軍団への1歩を踏み出すステップにする。【浅水友輝】

○…DF福森 昨季公式戦4得点の左足は健在だ。後半36分、ペナルティーエリア手前右から直接FK。「GKの立ち位置がファー(ゴール遠目)に寄っていた。ジェイのひとこともあって狙ってみようかな、と。失敗したら『ごめん』という楽な気持ちで蹴った」と笑った。ジェイの先制点もCKでアシスト。1G1Aに絡む活躍でも「それをやらないといけないプレーヤー」と頼もしかった。

◆札幌と公式戦開幕戦 J2時代の15年リーグ戦2○1栃木以来5季ぶり勝利となった。3得点以上したのは4度目で、過去3度はJFL時代の96年リーグ戦4○1福島、97年ナビスコ杯3△3G大阪、00年J2リーグ戦4○0鳥栖。

◆札幌とJカップ戦 昨季ルヴァン杯準優勝が最高成績で、決勝は川崎Fに

延長3-3からPK4-5の惜敗だった。ルヴァン杯の前身ナビスコ杯では初出場の97年8強が最高成績。1次リーグ敗退は5度(98、02、08、12、18年)、トーナメント戦だった99、00、01年は1回戦敗退、17年はプレーオフステージ敗退だった。