J1大分トリニータは24日、大分市内で行われた19年度株主総会で決算を発表し、榎徹社長(61)がオンラインで取材に応じた。

10期連続となる1億3200万円の黒字を報告した。売上高は、18億6600万円で、好調だったスポンサー料と入場チケット収入が、黒字の主な要因となった。

だが不安要素もある。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、いまだJリーグの開幕時期が白紙で、大分も5月6日まで活動休止中。厳しい現実を踏まえ、Jリーグの理事も務める同社長は「再開が遅くなればなるほど厳しい経営状況になるので、今期はクラブの存続と雇用の確保を第一と考えている。非情な危機感を持って対応していきたい」と気持ちを引き締めた。

開幕が6~8月、さらにそれ以降へ延期された場合を想定している。「試合が延びる中で、いろんな想定がされるわけで、そういうことを考えた時、今回融資をお願いするということもある」と明かした。

現段階の資金繰りについては「今すぐキャッシュフローが詰まるという話ではない。しばらくは持つ」という。だが「例年、キャッシュフローが一番厳しくなるのが10、11月」と言い、不測の事態へ準備を進めてはいる。ただその場合でも、Jリーグの融資制度を利用するものではなく、大分市内の銀行からを予定している。

選手の年俸に関しては「いろんな契約の問題もありますし、削るということはありません」と断言。とはいえ、経営が圧迫されれば「年俸じゃなく、いろんな他の不要不急の経費を大幅に縮小していくことになると思います」。今後の事業見直しや運営費縮小など徹底したスリム化で、難局を乗り越える覚悟も示した。