J1川崎フロンターレのMF中村憲剛(40)が1日、今季限りでの現役引退を発表した。クラブの公式YouTubeチャンネルで表明した。

節目の年を迎えたばかりの中村が大きな決断を下した。前日10月31日は40歳の誕生日。FC東京戦で自らのバースデーゴールで決勝点を奪い、チームを12連勝に導いた。試合後には「30歳でもサッカー選手は大台ですけど、まさか自分が40になってまた試合に出て、点を決めると思ってなかった。年齢は数字だと思います。自分がどれだけやれるかと思う。不惑っていいますけど、惑わずここからやっていこうと思います」と話していた。惑うことなく、引き際を決めていたのかもしれない。

選手生活の最後に、大けがを乗り越えて復活してみせた。昨年11月2日の広島戦で左膝を負傷し、左膝前十字靱帯(じんたい)損傷、左膝外側半月板損傷の手術を受けた。長いリハビリの末に今年8月29清水戦で301日ぶりに復帰し、大けがを負った等々力で16年連続ゴールを達成。その時も東京戦も、メスを入れた左足でゴールネットを揺らした。「今年に関して言うと説明がつかない。今日のゴールも清水戦も等々力には神様がいるなと感じている」。川崎Fひと筋18年。誰からも好かれる人柄とたゆまぬ努力で、等々力の神様とサポーターに最も愛されるプレーヤーとなった。

川崎Fは現在、2位のG大阪に勝ち点17差をつけて首位を独走する。残りのリーグ戦は9試合。クラブの象徴となった背番号14に、全員一丸となって「優勝」という最高の花道を用意する。

 

◆中村憲剛(なかむら・けんご)1980年(昭55)10月31日、東京都小平市生まれ。久留米高(現・東久留米総合高)から中大を経て、03年に川崎F入団。同年のJ2開幕戦、広島戦でデビュー。攻撃的MFだったが、04年に当時の関塚監督の提案でボランチに転向。Jリーグベストイレブン受賞8度。J1通算出場数はクラブ歴代トップの463試合で74得点。06年に日本代表に初選出され、10年W杯南アフリカ大会に出場した。国際Aマッチ通算68試合6得点。175センチ、66キロ。家族は夫人と1男2女。好きな言葉は「感謝感激感動」。血液型O。