Jクラブの不祥事が続いている。G大阪、J2新潟の選手が酒気帯び運転などで問題を起こし、仙台ではMF道渕諒平が知人女性への暴行問題をきっかけに解雇された。また、新潟の是永大輔社長は事実を認識しながら1カ月も隠蔽(いんぺい)。「誤った判断だった」で片付けられ、今も職を維持している。

今回のさまざまな不祥事で最も腹立たしいことは、Jリーグの対応だ。道渕のDV問題を報告されながらも、週刊誌が報じるまで隠し続けた。それでもJリーグは「隠した」とは言わない。村井満チェアマンは「クラブとの間でコミュニケーションがスムーズにいかなかった点があった」と若干の非こそ認めたが、責任から逃れようとした。

発表に至った経緯に関し、村井チェアマンは「仙台から1カ月前に報告はあったが、和解が成立しているので、特にJリーグでは問題として認識していなかった」。さらに「報道されなかったら、世間的にはなかったことになっていたという認識は持っていたか?」の問いには、「そうではない。今回の案件は報道されている事実と、クラブが入手した情報に大きな格差があった。我々が当時入手した情報と今回の情報では大きな格差がある。現在調査中」と話すにとどめ、具体的な違いは触れなかった。

仙台の最初の報告内容は明らかになってないが、もし「DV」や「女性を殴った」などの言葉が入ったものであれば、それを隠した罪は大きい。Jリーグはジェンダー不平等や人種差別の問題に敏感で、各競技団体の手本となることを誇りに思っている。その根底が揺らぐ大きな問題である。

Jリーグは昨季まで順調に入場者数を増やし、J1平均を2万人の大台に乗せた。DAZNとの大型契約で安定経営をしてきた。特に観客増員へ「女性と子供が来やすい環境づくり」を強調し、暴力根絶をうたっている。新設スタジアムには女性用トイレの増設を要求している。各クラブには女子チームの創設も進めてきた。新たなファンの獲得、今後の繁栄へ、女性の力は絶対に必要との判断だ。

今回の不祥事で解雇された選手、給料カットされた社長、さらに処罰を受けるクラブも出てくるはず。ただ、女性への暴力に目をつぶったJリーグには何の制裁もないだろう。チェアマンが頭を下げ、今後の徹底教育を発表すれば済むとは思ってほしくない。甘い認識を正し、関連規約を明文化する。その上で最も大事なことは、Jリーグが自らを律するきっかけとすることだ。【盧載鎭】