帝京長岡が新潟明訓を2-0で破り、3連覇を決めた。前半25分、FW石原波輝(3年)の左クロスにMF広井蘭人(1年)が走り込み、左足で先制点を奪うと、4分後にはFW葛岡孝大(3年)が石原の右クロスを頭で合わせ追加点を挙げた。

前回大会全国4強。勝者のメンタリティーを武器に、8度目の全国選手権(12月31日開幕)に挑む。

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帝京長岡の“心臓”、川上航立主将(3年)が声でチームを支えた。「コンディションが悪い中、試合に出させてもらっている。その分、声で貢献したかった」。準決勝で負傷した右足は大きく腫れ上がり、歩くのがやっと。「これまでの試合の中で一番ボールに触っていない」とパス回しへの参加回数を減らし、ロングキック、シュートも控えた。普段のプレーは出来なかったが、80分間、誰よりもチームを鼓舞し続けた。

序盤は新潟明訓の両サイドを使った攻撃に押し込まれた。だが、「相手ボランチの間があきだした」と見抜いた川上は中央から攻撃を繰り返すことをチームメートに指示。その言葉通り、中央突破を起点に前半で2得点を奪った。

古沢徹監督(34)は川上のサポート役として、中盤にパス力のある広井と桑原航太の1年生コンビを配置。「うまくはまった」と指揮官が振り返ったように選手層の厚さを見せたチームは相手に効果的な攻撃を許さなかった。

負傷交代した準決勝翌日(4日)から松葉づえをつき、試合前には痛み止めを打った。「アドレナリンが出ていた。負けたくなかった」と強行出場の理由を笑顔で説明。U-16新潟県選抜で18年福井国体をともに戦った、新潟明訓MF藤田梢紘(3年)からも決戦前にラインで心配された。「ピッチで一緒に楽しめた。試合後、全国も頑張れと言われた」。目標は前回大会4強を上回る日本一。「まだまだ全国に通用しないレベル。残り1カ月、すべてを強化したい」と川上は意気込んだ。【小林忠】