遠野が専大北上を1-0で破り2年ぶりの王座に輝き、県内最多29回目の優勝を決めた。岩手代表として、12月31日開幕の全国選手権(東京・駒沢陸上競技場ほか)に出場する。

ここまで不発だったエース番号10のFW平賢心(3年)が、ストライカー本能を呼び戻した。前半30分、バイタルエリア内のこぼれ球に、平が反応する。相手DFをかわして右足を振り抜くと、ゴール右隅に突き刺さる先制弾となった。平は「必死すぎて、よく覚えていない。決勝で決められて、ホッとした気持ちが強い」。9月のスーパープリンスリーグU-18秋田戦以来、公式戦約2カ月ぶりのゴールだった。決勝戦前日には、チーム内で過去の試合映像を視聴。決勝までの3試合で不発だった平は、自らのゴールシーンで気持ちを切り替え、「プレッシャーや焦りもあったんですけど、良いイメージで試合に臨めたのが良かった」と、これまでの鬱憤(うっぷん)を、大舞台で晴らしてみせた。

守備ではGK山下夏輝(3年)の存在感が際立った。試合序盤から強烈なミドルシュートが、GK山下を襲撃する。ジャンプしながら、両手拳でブロック。さらに、至近距離となった1対1では素早い反応でセーブし、80分間ゴールを守って、完封した。頼れる守護神は「セービングを中心に1週間練習してきた成果を出せた。全国大会でも結果を残したい」と言葉に力を込める。過去最高成績は1960年(昭35)の準優勝。全国制覇で60年前の歴史を塗りかえる。【佐藤究】