ブラジル1部の古豪ボタフォゴMF本田圭佑(34)が立ち上げた東京都社会人4部リーグ所属のクラブチーム、One Tokyo改めEdo All Unitedが、来季の東京都社会人3部昇格を決めた。昇格がかかる大事なノックアウトステージの一戦を制した。

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総括 今季は新型コロナウイルス感染拡大で、Jリーグも含め世界中のサッカー界が、リーグ日程など、多くの変更を余儀なくされた。東京都社会人4部も、ここまで「特別対応」で行われてきた。

試合数が激減し、結局、昇格までに江戸が戦った公式戦は4試合だけ(名称変更を余儀なくされ、東京で3試合、江戸で1試合だったが…)。

江戸は選手の能力で圧倒し7-0、5-0、14-0、2-0と4戦負けなし、計28得点、0失点というほぼ完璧な戦いぶりだった。それでも、選手たちには、物足りなさが残ったのではないのだろうか。

いくら圧倒しても当然、カテゴリーは1年に1つしか上がらない。

江戸には、このカテゴリーでは力を持て余しているような実力者がそろうが、コロナ禍で無観客開催。当然、放送や中継は皆無。アピールの機会は限られた。

通常の開催だったなら、誰かの目に留まり、もっとカテゴリーが上のクラブに引き抜かれ、飛び級の個人昇格が実現したかもしれない。

ただ、今季は、その点でも、極めて微妙な状況にあると言わざるを得ない。

江戸は、すでに来季のセレクション(入団テスト)実施も告知しているが、本田というサッカー界における大きな名のもとで、夢を実現させたいという選手にとって、現実はかなり厳しいという点はある。

想定外のコロナ禍によるものではあるが、この点は、来季以降も課題となるだろう。

もちろんサッカー界に限らず、本田がそうだったように夢やチャンスは自分でつかむものではある。ただ、個人でJリーグやJFLや海外のクラブにステップアップするという好例をつくり、うまく循環させていくことがチーム強化という面からも欠かせない。この点は、発起人、本田の1つの仕事になるのだろう。

 

4試合全てを見たが、昇格のかかった一戦だけが、土のグラウンドだった。

関係者によれば、江戸側は、人工芝を含む芝生の会場を用意していたというが、指定された会場は土の「運動場」だった。

権利を勝ち取り、臨んだ昇格をかけた大一番。せめて、パスの回る芝生の会場で開催できなかったのだろうか。

都内は慢性的なグラウンド、ピッチ不足。だが、4試合のうち2試合は、東京都と名のつくリーグではあるが、茨城県での開催だった。

決戦は、土ぼこりが舞い、互いにパスもほとんどつなげず、肉弾戦のような試合になった。相手の頑張りには、目を見張るものがあっただけに、もったいなかった。

土のグラウンドは、昇格をかけた争いの激しさをヒートアップはさせたが、J1リーグを頂点とするピラミッドの土台でもある“J10”を、芝生でしっかり戦うことのできる環境を整えることも、日本サッカー強化のためには、大切ではないか。大げさかもしれないが、そう感じた。【八反誠】