5年ぶり14度目の優勝を飾った日大山形は、大けがを乗り越えたチーム主将のDF阿部真珠(3年)が引っ張る。

19年2月、当時1年生の阿部は遠征先で、右膝半月板水平断裂の重傷を負った。痛み止めの注射を打ちながらプレーを続けていたが、状態は悪くなる一方で、同4月に手術を受けた。長期間の離脱を余儀なくされ、「精神的にきつかった。自分のポジションに他の選手が出場して、結果を出している姿を見ることしかできなかった」と振り返る。

それでも、気持ちがなえることなく、「主将として全国に立ちたい。諦めきれなかった」と、松葉づえ姿で練習に参加し、率先して指示を送るなどフォア・ザ・チームに徹した。全体練習には今年5月から合流し、実戦復帰は7月。今秋の決勝戦ではフル出場し、延長戦の死闘に最後までピッチに立ち続けた。「パフォーマンスは100%ではないけど、自分のできることは第一優先にやれた」と、晴れ舞台にベストで臨めるよう、最後の仕上げに着手している。

選手権の初戦は近江(滋賀)と、31日に対戦する。「日大山形伝統の堅守速攻を体現したい。ベスト8が目標だけど、まずは全国1勝」。山形県勢は13大会連続で初戦敗退中。不名誉な記録はストップし、有終の美を飾る。【佐藤究】