北海道コンサドーレ札幌は浦和レッズを2-0で下し、3年ぶりに最終戦を白星で締めくくった。 今季リーグ戦は10勝9分け15敗の12位。18年就任のミハイロ・ペトロビッチ監督(63)体制では最低順位も、MF駒井善成(28)、大卒新人DF田中駿汰(23)のゴールで来季につなげた。MF荒野拓馬(27)が日刊スポーツに手記を寄せた。終盤に左足に全治4~6カ月の大ケガを負うもプロ9年目で自己最多5得点と飛躍した今季のキープレーヤーが、激動のシーズンを振り返った。

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浦和戦は自宅でDAZNで観戦した。最後までチームに同行できなかったのが悔しかった(※1)。今は治療とリハビリの毎日で、年明けから負荷を与えていきたい。

自分の中で今季キーになった試合はホーム横浜戦(7月26日)。(2試合前の)仙台戦で退場してしまって(※2)、自分がしてしまったことへのチームや仲間の信頼を取り戻すゲームとして、ミシャ(ペトロビッチ監督)が出場停止明けですぐに使ってくれた。いつもは大事な試合で点を取ったり、チームを勝たせられる選手ではなかったけど、自分のゴールとアシストで勝利に貢献できた。

仙台戦後、クラブと話して5~6試合は出られないと覚悟した。クラブとしてはあのプレーを重く感じていて、僕に試合に出て欲しくないと。ミシャからも「あのプレー自体は良くないこと」とはっきり言われたけど、「俺は次の試合でチャンスを与えたい」と、最終的に僕を使うことを決めてくれた。絶対に期待に応えたいと思った。

あの試合はチームとしても新たなチャレンジだった。“ゼロトップ”と言わるけど、実質フォーメーション的に僕の1トップ。ミシャサッカーでは規律やある程度の配置が決められているけど、僕は攻撃に関しては好きに動けと言われた。例えばジェイが1トップの時に僕くらい落ちてきてビルドアップに参加することは絶対にない。多分それをすると怒られる。僕が一番前に入ることによって、変則的で違った戦術、攻撃のバリエーションが増えた。

今季スゲさん(GK菅野)のプロとしてのメンタリティを感じた。途中で小次郎(GK中野小)が試合に出るようになった時、僕は性格的に誰にでも何でも言えちゃうし、そういう信頼関係がある。いつも移動のバスで隣の席だから、思い切って試合の帰り道、スゲさんに聞いたことがあって。「今までずっと出ていたのに、こうやって替えられた時、メンタル的にどんな感じなんですか?」って。「自分のやれることをやる。だから試合に出てる出てないに関係なくやることは変わらない」という返しに、やっぱりプロだなと。自分もそうでなきゃいけないと思った。チームの勝利のためにプレーしているんだなって。

昨年海外(ポーランド)から移籍の話が来た時、小さい時から海外移籍は夢だったから行くべきかって考えたけど、最終的にクラブに残る判断をした。ずっと海外に行きたいって言っていたのに。もし次に話が来た時はその時の状況にならないとわからないけど。国内移籍に関しては今、札幌でも優勝できると思っているし、北海道を愛している。札幌で優勝したいと思っている。

今季は新型コロナウイルスというものに対して世の中、世界がすごい変わった1年だった。僕は普段、どれだけの人に支えられてプレーしているかあらためて気づかされた。来季も目標のACL、優勝できるように一緒に戦ってもらえれば。僕はケガからのスタートで、夏くらいに復帰の予定。1日でも早く元気な姿を見せたい。待っていてください。【コンサドーレ札幌MF】

※1 11月21日ホーム清水エスパルス戦で、相手との接触で左腓骨(ひこつ)骨折と左足首の靱帯(じんたい)を損傷。同25日に手術を受け、12月2日退院した。

※2 7月18日アウェー仙台戦(2△2)で0-1の前半32分、相手選手への乱暴な行為によりレッドカードを受けて退場。1試合出場停止の処分を受けた。出場停止明けの同26日ホーム横浜戦(3○1)では1-1の前半18分に勝ち越しゴールを決め、後半44分にMF金子の得点をアシストした。