最終節9試合が行われ、FC今治に2-1で勝ったSC相模原がAC長野パルセイロをかわして2位となり、すでに優勝を決めている秋田に続くJ2昇格をつかんだ。YS横浜と藤枝MYFCの一戦では、今季限りで引退する「年俸120円Jリーガー」のYS横浜FW安彦考真(42)がプロ初先発。惜しくもプロ初得点は奪えなかったが、決勝点の起点になるなど奮闘し、勝利に貢献。試合後のセレモニーでは格闘家転向を発表し、格闘技イベント「RIZIN」出場を目標に掲げた。

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39歳でJリーガーに再挑戦した安彦が、次は格闘技の舞台に挑む。試合後の引退セレモニーで感謝を述べ「Jリーガーとしてはここで終わりです。第2章をスタートさせます。格闘家になります!」と突然の宣言。どよめきが起こり、選手からも「マジで?」と声があがった。続けて「来年末、さいたまスーパーアリーナ、RIZINに出ます!」とぶちあげた。

実際にオファーがきたわけではなく、現時点では大きな目標のひとつ。次の挑戦には野球やトライアスロンなども考えたが「生きざまが見せられて、今より過酷なもの。サッカーではカズさん(三浦知良)、格闘技では辰吉丈一郎さんに憧れているんです」と約2週間前に決めた。競技経験はなく「けんかもろくにしたことがない」。Jリーガーを目指した際に協力を受けた都内のスポーツジムで年内にも始動するという。

39歳の時に「お金に縛られている自分の人生に嫌気がさした。人生の後悔を取り返しに行く」と1度は諦めたJリーガーへの再挑戦を決意した。18年に練習生を経てJ2水戸ホーリーホックとプロ契約。昨季移籍したYS横浜での同開幕戦で41歳1カ月9日で途中出場してプロ初出場を飾り、ジーコの持つJリーグ最年長初出場記録(40歳2カ月13日)も更新。年俸120円の“ほぼ0円”契約も話題になった。

現役最終戦ではプロ初先発を飾り、後半13分までプレー。後半7分の先制時には前線で起点となるなど戦う姿は十分に示した。「ピッチを出る時にみなさんが大きな拍手をしてくれた。それがひとつの答えかなと思いました」。お金で買えない経験を武器に、安彦は次のステージへと進む。【松尾幸之介】

◆安彦考真(あびこ・たかまさ)1978年(昭53)2月1日、神奈川県生まれ。高校3年時に単身ブラジルへ渡り、19歳で地元クラブとプロ契約を結ぶも開幕直前のけがもあり、帰国。03年に引退したが17年夏に再びプロ入りを志し、18年3月にJ2水戸と40歳でプロ契約。175センチ、74キロ。