セレッソ大阪は9日、元日本代表FW大久保嘉人(38=J2東京V)を完全移籍で獲得したと発表した。06年以来15年ぶりの古巣復帰。1年契約とみられ、本人は「選手生活の最後はC大阪で、という気持ちで頑張ってきた」とコメントするなど、古巣で引退する覚悟さえ示した。

大久保にとって長崎・国見卒業後の01年にプロ生活を始めたC大阪は、特別な場所だ。1年目から主力に抜てきされ、04年にマジョルカ(スペイン)への期限付き移籍で、初めて海外に送り出してくれた。

川崎F時代の13~15年に3年連続得点王を獲得した大久保は、J1歴代最多185得点(448試合)を誇るが、昨季はJ2で19試合無得点と不完全燃焼に終わった。その状況でもC大阪から復帰要請を受け、心を動かされた。

「C大阪のユニホームを着て戦えることをうれしく思う。プロ21年目、選手としての終わりを意識していない、といったらうそになる。だからこそ感じること、見えることもある」

過去の実績など関係なく、同じく新加入のオーストラリア代表タガートらと定位置争いに勝つしか、生き残る道はない。現役引退の危機感を持ち、2年ぶりのJ1に挑む。

6月に39歳を迎えるチーム最年長の大ベテランは、あと15点に迫った前人未到の通算200ゴールという目標もある。C大阪にとっても3年ぶりのACLや悲願のJ1初優勝へ、大久保の復活がカギを握る。

◆大久保嘉人(おおくぼ・よしと)1982年(昭57)6月9日、福岡・苅田町生まれ。国見3年時に総体、国体、選手権の高校3冠。01年C大阪入り。04年マジョルカ、07年C大阪から神戸へ。08年ウォルフスブルク、09年以降は神戸、川崎F、東京、川崎F、磐田、J2東京Vへ。日本代表では04年アテネ五輪と10、14年W杯に出場。国際Aマッチ通算60試合6得点。家族は夫人と4男。170センチ、73キロ。