Jリーグは14日、新型コロナウイルスワクチン大規模接種への協力に関する記者会見をオンライン上で行った。登壇した楽天グループ株式会社の三木谷浩史代表取締役会長兼社長(56)は「日本は遅れていて、大変な危機感を覚えている」と前置きした上で、抜本的な接種オペレーションの見直しを提言した。「今のオペレーションは、ワクチン供給量が極めて少なく、優先順位を付けないといけないプロセスの中で、接種券が作られてきた。今は総理もおっしゃっているように十分な供給量があるため、オペレーションを抜本的に見直す必要があり、スピード重視に考えないといけない。7月とは言わず、早期に高齢者の方(の接種)を終わらせて、目途が見えたら一般にも明けていく。半年とか1年とか、こんなことは基本的にやっていられないと思っている」。

また、ワクチン承認についても「ほとんどの国が欧米のデータを基に承認している中、日本は300人~400人の国内治験をやっていて、これが3カ月~4カ月の遅れを出している。この遅れが致命傷なのではないかと思う。これからはインフルエンザのように接種しないといけない可能性が極めて高いので、一般クリニックなど、接種会場だけでなく、スムーズなワクチン接種体制を作らないといけないと思っている」と話した。

JリーグはJ1名古屋の豊田スタジアム、J2町田のGIONスタジアムが、既に大規模接種会場として決定している。J1神戸のノエビアスタジアムも、ほぼ決定している状況。神戸のオーナーでもある同氏は「一経済人として、Jリーグのオーナー企業の代表取締役として、一国民として、米国はこの問題を解決しようとしているが、日本は2周遅れくらいになっていることに、大変危機感を覚えている」と現状の改善を呼びかけた。

そして繰り返し、世界と日本の「差」を指摘した。「米国はスポーツチームだけでなく、ドーナツ屋に接種証明書を持っていくとドーナツがもらえる等、いろいろなことをしている。自分のビジネスがどうのこうのより、国家として、ワクチンを通じてコロナ禍を脱出しないと、どうにもならないという認識があると思う。ワクチン接種のオペレーションも、スーパー単位でも協力して、空港でも、本人確認しなくても、外国人でも接種できる状況の中、日本は残念ながら進んでいないのが現状。できることがあるなら何でもする所存でやっている。楽天グループも1億人の会員がいるので、あらゆる力を使って協力したい」と話した。