社会人サッカーの北海道十勝スカイアースは23日、初の天皇杯に臨む。1回戦でJ2ブラウブリッツ秋田と秋田市のソユースタジアムで対戦する。今季から長野聡監督(38)が就任。「アクションフットボール」を掲げる元Jリーガー監督のもと、社会人クラブチームがJFL昇格を目指している。新指揮官の思いに迫った。【聞き手=保坂果那】

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-天皇杯に初出場する

長野監督 相手はJ2でいい結果(22日現在リーグ8位)を出している。しっかりハードワークできていて、監督がすごい。だからって負けるつもりはない。全体の総合力で言えば負けているかもしれないけど、僕らのストロングと相手のウイークを掛け合わせて、最後は勝てばいいわけなので。デザイン、そこにかかっている。監督業の一番の楽しみ。

-昨季までのコーチ兼任選手から今季監督に就任

長野監督 (選手としては)何かきっかけがないとやめられないと思っていた。そういう意味で選手をやめて監督をすぐできるというのは、なかなかない。大変だとは思ったけど、いつも僕の人生を決めるモットーとして、選択肢があったら大変な方に行こうと思っているので引き受けた。

-「アクションフットボール」を掲げている

長野監督 僕は今までJリーグでやって来て、北海道に来て感じたことは北海道のチーム、環境はほかの地域に比べてレベルは劣る。チーム数も少ないし、北海道の中では自分たちのサッカーができる。だけど全国舞台に行くと相手が強いので、ゴール前にへばりついてカウンターという戦術しかないって状態だった。それがもどかしかった。相手に主導権を握らせるのではなく、常に自分たちが主導権を取りにいくサッカーをやろうと。攻撃なら仕掛ける、守備ならボールを奪いにいく。リアクションではなく、自分たち主導で動いていこうっていうのがテーマ。

-生活面でもアクションを求める

長野監督 サッカーに取り組む姿勢など、すべてに通ずる。例えば、選手は仕事をしながら練習しているが、仕事がきついから練習できないなど言い訳しがち。そんな言い訳を言っていたら、いくらJリーグを目指すと言っても目標達成はできない。仕事がきつくても、しっかりサッカーをやる、行動を起こすってことでアクションというテーマを掲げている。

-18年にタイ・バンコクFCから北海道十勝スカイアースに移籍した

長野監督 前代表の藤川(孝幸)さん(18年に56歳で病死)からタイに連絡が来た。クラブの給与未払いで悩んでいる時だった。藤川さんの熱意にほだされて即決だった。

-現在所属する北海道リーグ(地域リーグ)からJFL昇格は藤川前代表の願い

長野監督 思い半ばで亡くなり、意思を引き継ぎ、思いを紡いでいきたいと思う。Jに行くって藤川さんが熱い思いで動いていたので。

◆長野聡(ながの・さとし)1982年(昭57)8月2日、福岡県犀川町(さいがわまち、現みやこ町)出身。福岡大から05年福岡(当時J2)でプロ入りし、その後、東京Vや北九州に所属。13年から5年間はタイでプレーした。J通算169試合4得点。18年北海道十勝スカイアースに加入し、選手兼コーチ。21年から監督。現役時代の本職はDF。北九州時代の11年にはFW転向も経験した。家族は妻と1男1女。