ベトナムからやってきた、セレッソ大阪の新戦力が大きな1歩を刻んだ。ロシア出身でベトナム代表GKのダン・バン・ラム(27)が、日本デビューを完封勝利で飾った。新本拠地、ヨドコウ桜スタジアムでの初戦。J3のガイナーレ鳥取を迎えた天皇杯2回戦は、相手を2-0で下した。

ダン・バン・ラムは、鳥取に決定的な場面を作らせなかった。「今は素晴らしい気持ちでいます。セレッソの一員として勝てて、すごく良かった」と笑顔を見せた。

ベトナムのクラブでキャリアを積み、同国のU-19(19歳以下)、U-23、フル代表とステップを踏んできた。新型コロナウイルスの影響により、来日は4月3日。Jリーグが一括管理する14日間の待機期間を経て、チームに合流した。

5月31日~6月15日は、ベトナム代表として22年W杯アジア2次予選に参加予定だったが、チーム内にコロナ陽性者が出たため、同国協会が招集を見送り。そこで巡ってきたチャンスだった。

チーム内ではJ1通算300試合出場を果たした韓国代表GKキム・ジンヒョン(33)が地位を確立し、守護神の座を奪うのは容易ではない。それでも「ジンヒョンさんは経験豊富。毎日一緒に練習できてうれしいし、学べるものがたくさんある」と目を輝かせ「日本はクオリティーの高い選手が多い。驚かされることばかりです」と周囲にもまれて成長を実感している。

この日はコロナ禍で無観客。試合はYouTubeで配信され、ベトナムのファンも熱視線を送った。

「初めての日本の試合。プレーする姿を、待ち遠しいと思っていたと思う。こうやって試合に出られて、プレーする姿を見せられたのが良かった。サポートしてくださった人たちに、感謝の思いを伝えたいと思います」

異国の地で、数少ないチャンスをつかみとる。【松本航】