東京五輪日本代表の湘南GK谷晃生(20)が、6日のメキシコとの3位決定戦から中2日で、いきなり鹿島戦に先発した。五輪の大舞台で全6試合フル出場。メキシコ戦翌日の7日にチームに合流。浮嶋敏監督と話し合い「準備ができている」と先発に臨んだ。試合終了間際に逆転弾を許したが、好セーブを連発し五輪の守護神の存在感を発揮した。

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谷が6日の3位決定戦から中2日で、鹿島戦のピッチに立った。目標のメダルを逃した悔しさから切り替える時間は短かったが「ピッチでした経験、悔しさはピッチでしか晴らせない」。休む選択肢はなかった。1-0の前半29分、鹿島DF犬飼に、風速7メートルの追い風を利用した35メートル弾を浴びた。試合終了間際には、左コーナーキックから味方に当たり失点。不運な2失点にも「どのプレーにも改善していく部分はある」と責任を背負った。

鹿島GKは東京五輪の最終合宿までチームメートだった沖。選外となった仲間の思いを背負い、東京五輪では全6試合に出場し600分を戦った。試合後、沖から「また、ここから頑張っていこう」と声をかけられた。東京五輪は招致が決まった瞬間から目指してきた舞台。いざ立って「プレッシャーが大きな舞台で普段やっていることを出せるか。そこが自分の基準になっていければ」と新たな目標も生まれた。

G大阪からプロ生活をスタートさせ、出場機会を求め20年に湘南に加入。湘南での実績が評価されて夢の舞台にたどり着いた。「ここでプレーすることが、またさらにここからの評価につながっていく」とさらなる高みを目指す。東京五輪を終え、谷の挑戦がまた始まった。【岩田千代巳】