新型コロナウイルスの感染拡大が続き、J1クラブでも、選手の感染が発表されている。変異株のまん延で、対策をしていても、だれが感染してもおかしくない状況だ。

その中で、関東のJ1クラブで唯一、湘南ベルマーレは選手の感染者は現時点で0だ。変異株が流行する前から行っている細やかな感染対策が奏功した結果ともいえそうだ。

浮嶋敏監督(53)が19日、21日のホームでの清水戦を前にオンライン取材に応じ、感染対策の一環を明かした。

   ◇   ◇   ◇

湘南は、新型コロナウイルスが感染拡大した初期のころから、細やかな感染対策を講じてきた。浮嶋監督は「細かすぎるぐらい細かくやっている。選手の陽性が出ていないのはメディカルチームの成果だと思う」と感謝を口にした。

行動履歴の把握はもちろん、外食にも厳しい制限を設けている。選手同士の外食は禁止。知人、友人の会食も基本禁止で、家族と同居者だけ認められている。その場合の外食も、個室か個室のつくりである店に制限している。

また、独身の選手が外食でよく使う店に、スタッフが出向き、感染対策を店舗に依頼。時間差で選手が利用するよう対策が練られ、地元店舗の協力もあり、選手が安心して「おひとり様外食」ができるという。

また、移動のバス内では食事は禁止で、通常、1台で行ける場合でも、2台に増やし、席の間隔を空けている。コーチ陣も、スタッフルームの机にはついたてがあり、トイレもフロント、スタッフ、選手と分けられている。

ウオーミングアップは数カ所のグループに分け、筋トレルームや浴室も密にならないよう、マネジャーが細かくグループ分けしている。指揮官は「クラスターにつながるものは禁止している」と話す。外食の制限で、中には自炊をし、料理の腕が上がった選手もいる。

浮嶋監督は「窮屈なところもあるかもしれませんが、プロとしては仕方がない。みんな、しっかり意識しながら生活してくれている」と話す。

チームは現在5連敗中だが、内容は悪くない試合が続いている。次節21日の清水戦は降格圏脱出のためにも勝ち点3が必要な試合。指揮官は「パワーをさらに出したゲームにしてほしいと思っている、選手もホームの試合は取らなければいけないといけないとやってくれると思う。エネルギッシュな戦いをしたいなと思います」と意欲を見せた。【岩田千代巳】