J2残留争いの直接対決は、SC相模原がミラクル逆転勝利を飾り、降格圏から残留圏に浮上した。

1点を追う相模原は後半44分、敵陣左サイドからDF梅井がロングスロー。ふわり浮いたボールがニア付近に届くと、飛びだしてきた愛媛FCのGK岡本の左手に直接当たり、そのままゴールに吸い込まれた。敗色濃厚の試合終了間際、スローインがGKのオウンゴールを呼ぶという珍しい同点劇だった。愛媛の選手は倒れ込み、なかなか起き上がれなかった。

奇跡はさらに起きた。ロスタイムは6分で事実上のラスト1プレー。相模原は自陣からのロングカウンターを発動。MF成岡のスルーパスにオフサイドぎりぎりでFW中山が受け、GKをかわすと無人のゴールへと蹴り込んだ。これが決勝点となり、信じられない幕切れとなった。

相模原はJ3自動降格圏の20位から、残留圏の18位へ一気に浮上。21位愛媛に負けていれば、相模原が逆に21位に順位を下げるところだった。

4試合ぶりに勝った相模原の高木監督は、愛媛の立場を最大限に配慮した上でコメントした。究極の試合に、指揮官は目をやや赤くし、笑顔などまったくなかった。

「ともすれば、我々が逆の立場になるような試合だった。これを素直に喜べない。それがサッカー人としての僕は心意気かなと思う」

敗れた愛媛の実好監督は、沈黙を保ったのちに「何か説明がつかない。不思議な流れというか、シーンというか…。今、そういう気持ちです。悔しさはたくさんある」と言葉を振り絞った。ホームの愛媛は0-0で迎えた後半38分、FW唐山のゴールが生まれ、6試合ぶりの勝利へ残り数分、我慢すればよかった。

残り2試合となったJ2の残留争い。今節終了時点でJ3自動降格圏にいるのは、19位ツエーゲン金沢、20位ギラヴァンツ北九州、21位愛媛、22位松本山雅FCの4チーム。決勝ゴールを挙げた相模原のFW中山は「必ず残留できるように頑張ります」と締めくくった。

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