阪南大高(大阪)が3-0で丸岡(福井)に完勝し、2度目の出場で悲願の選手権初勝利を挙げた。湘南入りする主将FW鈴木章斗(3年)のゴールなどで圧倒。初出場した6大会前は開幕戦で敗退も、鈴木ら多くのタレントをそろえた今回は、10年度の滝川二(兵庫)以来となる近畿勢優勝を目指す。近大和歌山は流通経大柏(千葉)をPK戦で下し、奈良育英も31日の2回戦に進んだ。

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かつて大鉄の名で福本豊ら多くのプロ野球選手を輩出した阪南大高が、サッカーで新たな歴史の1歩を刻んだ。悲願の全国高校選手権初勝利に、就任22年目の浜田豪監督(44)は「(マスク姿で)無表情で分からないかもしれないが、純粋に喜んでいます」。

前線からのプレスで丸岡を追い詰め、放ったシュート数は前半だけで16本。最終的に3ゴールに終わったが、今夏の全国高校総体3回戦で3-4で神村学園(鹿児島)に惜敗後、確実に成長した姿を示した。初出場した6大会前、開幕戦で駒大高(東京)に敗れた苦い思いを払拭(ふっしょく)した。

後半に初ゴールを挙げた主将のFW鈴木は、卒業後の湘南入りが内定。「初戦は厳しくなると思っていたが、勝ち切れたのはチームの成長」と胸を張る。一方で08年度にFW大迫勇也(鹿児島城西)が樹立した1大会10ゴールの最多記録更新を狙うだけに「もう少し決定力を上げていかないと」と満足はない。先制点を挙げたMF田中は「自分を含めて、中盤4人も点にかかわるためにシュートを打った」と意識は高い。

予選参加200校を超える大阪大会は履正社など私立校がしのぎを削るが、大阪勢の日本一は73年度の北陽(現関大北陽)以来、近畿勢は10年度の滝川二以来ない。兄貴分の阪南大が今月の全日本大学選手権で準優勝を飾っており、次は弟分が全国舞台で快進撃を続ける。【横田和幸】

◆阪南大高◆ 大阪・松原市にある私立で学校法人阪南大が運営する。1939年(昭14)に大鉄工学校として開校。プロ野球には福本豊(阪急)、岩本勉(日本ハム)ら多くの人材を輩出し、JリーグにはFW河田篤秀(J2大宮)ら