Jリーグは30日、サガン鳥栖の金明輝監督(40)の「パワハラ判定」に関する会見を実施。29日付けでの裁定委員会の懲罰が伝えられた。金監督へは、公式試合への出場資格停止8試合または8試合に相当する期間の経過(期間は22年2月19日~3月26日)とけん責。クラブに対しては、罰金300万円とけん責処分が課された。オンライン会見に出席した村井チェアマンは「動機のいかんによらず、、理由のいかんによらず、ハラスメント、暴言や暴力はいっさい許されないということをJリーグとしては確認したいと思っております」と強い口調で話した。

金監督においては、6月下旬、練習中に選手に足払いをしリーグ3試合の指揮資格停止処分を受けたが、8月14日の浦和レッズ戦から指揮に復帰。第三者委員会の調査を経て、さらなる処分は不要となっていた。

しかし、8月下旬、選手らに対して継続的に暴力、暴言といったパワハラ行為に及んでいるとの匿名の告発文書が日本協会に届いたことから、Jリーグの独自調査が行われることとなった。4人の弁護士により、9月15日から12月12日まで、金監督やクラブ上層部らを含むクラブ関係者90人に対して延べ100回のヒアリングを実施した。

その中で、複数選手やスタッフ、過去に指導したユース時代も含めて、胸ぐらをつかむ、平手打ち、突き飛ばすなど激しいパワハラ行為を受けた生々しい暴言や暴力の事実が判明した。

トップチームに関しては、19~21年まで主にユース出身や若手選手らに対して「死ね」「殺すぞ」「消えろ」など至近距離で叱責するなどして、「怖かった」「圧を感じた」と証言する複数の関係者が存在した。

また、金監督は第三者委員会によるヒアリングの前に、チーム関係者へ自身への不利な発言をしないように求め、捜査を妨害したことも発覚。金監督と面談した新里GMが、暴力の事実を把握したにもかかわらず、隠蔽(いんぺい)して上層部に報告するなどクラブの自浄作用が機能していなかった。

そんな中で、鳥栖は20日に金監督の今季限りの退任を発表していた。ただ、クラブとの契約は残る状況という。いずれにしても、金監督やクラブにとって、失墜させた信頼を回復させることは容易ではない。

◆Jリーグで起きた、ここ最近のパワハラ問題 19年10月、当時湘南の曹貴裁監督が選手やチームスタッフに対してパワハラ行為を行ったと認定され、公式戦5試合の出場資格停止と制裁金200万円、けん責処分が下された。その後、日本協会から1年間のS級ライセンスの停止処分が科された。また、今月24日には東京Vの永井秀樹前監督(50)にパワハラ行為があったと認定され、クラブに対して罰金100万円とけん責処分が下された。同監督は9月に退任しており、規約でJリーグ関係者とは認められなかったため、個人的な処分はなかった。