高円宮杯U-18サッカープレミアリーグが、2日に開幕する。高校年代最高峰の同リーグは、東西各12チームに分かれてホームアンドアウェーのリーグ戦で争う。WEST(西地区)所属の清水ユースと磐田U-18は、今季からクラブOBが監督に就任。清水ユースの沢登正朗監督(52)は「戦う集団」を目指して強化してきた。磐田U-18の前田遼一監督(40)は攻撃的なスタイルを構築。元日本代表の指揮官2人が、リーグ制覇を目指してチームを束ねる。

「ミスターエスパルス」率いる清水ユースが、たくましく生まれ変わった。沢登監督は現役を引退した05年以来、17年ぶりの古巣復帰。「清水愛」を胸に若きオレンジ軍団を鍛えてきた。チーム始動から2カ月半。3日の東福岡との開幕戦を控えた指揮官の表情にも、自信が満ちあふれていた。「開幕に向けてという点では、合格を与えていい。選手は意欲的にやってくれた」。

求めたのは、試合終了の瞬間まで戦い抜くタフさだ。指揮官は「90分間攻守でアグレッシブに戦いたい」。理想のスタイルを実現するために、必要な基礎体力を強化。トップチームが普段使う施設での筋トレなども積極的に行った。砂浜でのサーキットトレーニングも敢行。もともと技術力を持っている「うまい」チームに、「強さ」を植え付けた。

練習中は積極的な声出しも要求。戦術的な指示だけでなく、仲間を鼓舞する言葉を言い続けるように指示した。特に強調したのは、クラブを背負って戦うことの重要性。沢登監督は「このエンブレムをつけて戦う意味を教えるのも、僕の仕事。クラブを代表して戦う以上、『勝負事では絶対に負けるな』と言ってきた」。

戦術面では昨年のデータをもとに、シュート回数を増やすメニューや細かいポジショニングなどを指導。チームは発展途上だが、指揮官は「もっと良くなるし、内に秘めた感情を出せるようになれば、さらに強くなる」と自信を見せる。クラブの歴史を知る熱血漢とともに、悲願のリーグ初優勝を目指す。【神谷亮磨】