セレッソ大阪のアカデミー技術委員長を務める風間八宏氏(60)が、「みんなが見たいプロ選手」の育成に着手している。

20日、大阪・舞洲で「スペトレ」と題し、下部組織に在籍する小学生から高校生までを集めて指導した。

身長130センチ台の小学3年生から180センチ後半の高校生の男女が、一緒に同じ練習をし、最後は試合形式のメニューまでこなした。

無謀にも見える指導法には、風間氏の確固たる理論があった。

「年齢や性別にかかわらず、味方の個性を見抜く。一番頼りになるのは、確かな技術と、自分の目。年下の選手は、上に付いていこうと必死になる。上の選手は(年下に対して)、この選手はどれくらいのスピードで走れるんだろうと瞬時に考える力がつく。(一緒にプレーしながら)周りを楽しませることができるということは、みんなが見たいと思えるプロ選手になれるんです」

この日の「スペトレ」には昨季限りで引退し、C大阪のアカデミー技術委員に就任した大久保嘉人氏(39)も参加した。

風間氏は川崎フロンターレを率いた際、神戸で実力を発揮できずにいた大久保氏を獲得。才能を開花させ、Jリーグ史上初の3年連続得点王(13~15年)に育てた。

「プロになれば、いろんなチームに行って、いろんな監督に出会う。そこでは自分の武器となるものが必要。どうやってボールを武器に戦うかを覚えさせる」

今後は小学生から高校生までが交じったチームで試合を行い、海外遠征も検討しているという。

約2時間、一緒に指導した大久保氏は「小中高の選手が一緒にやるのは、どこもやっていない。じょじょにお互いのスピードに慣れてくるし、考える力がつく。僕は30歳を過ぎてから風間さんと出会って、こんなにサッカーは楽しかったんだと気付かせてもらった。日本では風間さんしか伝えられない教え方だと思う」と話した。

今後も「見たいプロ選手」の育成は続く。

◆風間八宏(かざま・やひろ)1961年(昭36)10月16日、静岡市生まれ。清水商時代に脚光を浴び、79年世界ユース選手権に出場。筑波大時代に日本代表入り。卒業後にドイツのブラウンシュバイクなどでプレーし、89年に帰国して広島の前身マツダ入り。93年のJリーグ第1ステージで「J日本人第1号ゴール」を決めた。97年現役引退。桐蔭横浜大、筑波大監督を経て、12~16年まで川崎F、17~19年まで名古屋監督。