傷だらけのアビスパ福岡が先勝し、初のベスト4進出に王手をかけた。新型コロナの陽性者が選手、スタッフに9人出たことを前日に発表。2週間で計22人となり、選手数が不足したこの日、ベンチにはGK2人、フィールド選手(FP)2人の計4人という非常事態で臨んだ。

2点リードの後半ロスタイムには、プロ6年目でJ1出場経験のないGK山ノ井拓己(23)が、3人目の交代枠でFP用のユニホームを着て登場。FWの位置で約5分間プレーし、勝利に貢献した。試合後の山ノ井との主な一問一答は次の通り。

 

-どういう思いで試合に入ったのか

山ノ井 あの時間帯に入るのは失点を抑える、相手の攻撃を自陣にこさせないということを意識していた。最後に失点したので、ふだん(GKの自分が)FPに求めていることが体現できなかった。

-実際のプレーは

山ノ井 あまり覚えていないが、イニエスタ選手らになるべくボールに触らせないようにした。頑張ってボールを追いかけた。長谷部監督の指示を信じて、結果がつかめた。全員の勝利だと思う。

-FPでの投入は事前に言われていたのか

山ノ井 (長谷部監督から)試合前のアップで、もしかしたら10分程度、あるかもと言われていた。神戸遠征に来て(コロナのため)仲間数人が離脱してしまった。FP用の自分のユニホームは、昨日か一昨日に作られ、届いたのは今日でした。

-FPの経験は

山ノ井 千葉のジュニアユース時代、練習試合にサイドバックで出て以来。GKもきついが、FPは乳酸が体にたまるのが分かった。目の前がくらくらした。限界だった。

-改めてこの状況で試合が行われて

山ノ井 注目されるのはうれしいが正直、こういう運営の中でやるのは選手としてどうかなと思う。川崎フロンターレもきつい中で試合をした。うちは勝てたからよかったが、Jリーグには訴えかけたい。

◆山ノ井拓己(やまのい・たくみ)1998年(平10)10月25日、千葉県生まれ。千葉ジュニアユースから静岡学園に進み、日本高校選抜入り。卒業後の17年に当時J2の福岡に入団し、J1出場経験はない。ルヴァン杯は今季3試合目。185センチ、80キロ。