J1ベガルタ仙台や16年リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)男子日本代表などを率いた手倉森誠監督(54)のBGパトゥム・ユナイテッドが傑志(香港)に圧勝し、タイ勢初となるACLベスト8進出を決めた。

0-0の前半34分に均衡を破ると、サンフレッチェ広島や清水エスパルスでプレーしたFWティーラシンの追加点などで完勝。1次リーグではヴィッセル神戸と2-2で引き分けた相手を下し、手倉森監督は会見で「昨年は(16強止まりで)壁を敗れなかったチームが今年は打ち破れてホッとしています。キッチー(傑志)にキッチリ勝ちました」と代名詞のダジャレで喜びを表現した。

続けて「ここに至るまでの姿勢、意欲、意志、準備の違いで、この結果がもたらされたと思っています。まだまだタイの可能性をアジアの舞台で示したいと思っているし、タイの発展をけん引しているチームだと知らしめて、日本にも多くのBGファンをつくって帰りたい」と語った。

手倉森監督は2度目の仙台監督を退任した後の今年2月に就任。初の海外指揮挑戦で、日本人で初めて海外クラブを率い、ACLの1次リーグを首位突破していた。日本に凱旋(がいせん)してのノックアウトステージ初戦も制し、タイ勢の歴史を塗り替えた。

22日の準々決勝の相手は20日に決まる。ヴィッセル神戸、浦和レッズ-ジョホールの勝者、全北(韓国)のどこと対戦したいか聞かれると「次に対戦する相手が、今日の結果を見て物足りないな、と思ってくれればいいなと思います」と笑わせつつ「昨年、BGは全北に負けているので、もし当たれば借りを返すチャンス。神戸は(J2)長崎で一緒に仕事をした(吉田)孝行が監督として頑張っていて、大迫(勇也)や(山口)蛍といった、一緒にW杯(日本代表コーチを務めた18年ロシア大会)で戦った選手もいる。浦和のリカルドはタイで仕事をしたことがある監督だし、浦和のホームでも戦ってみたい。いずれにしても、巡り合わせは神様が導くだろうな」と各クラブとの縁を挙げ、母国での新たな試合を心待ちにしていた。【星夏穂】