コンサドーレ札幌FW興梠慎三(36)が20日の鳥栖戦(札幌ドーム)で、J1歴代2位タイとなる通算161点目のゴールを挙げた。前半21分、FW小柏剛(24)が送ったパスに反応し、左足で先制点を決めた。この日から一部エリアで声出し応援が復活。サポーターの大声援を受けながら戦ったが1-2の逆転負けを喫し、チームはホーム2連敗となった。

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現役最多得点のストライカーがまた1つ階段を上った。前半21分、興梠がゴールネットを揺らした。ペナルティーエリア右サイドの小柏から出されたパスに反応。左足でボールにタッチし先制点をもたらした。「得点の前にもチャンスがあって外していた。なんとかゴールを決めたいと思っていたので、落ち着いて決められてよかった」。J1通算161点目で佐藤寿人に並び歴代2位に浮上。「歴史に名を刻むことができるのはすごくうれしい」と思わずほおがゆるんだ。

前半7分、味方が供給したパスに抜け出したが、ペナルティーエリア手前で相手GKと交錯し倒れた。その場にしばらく突っ伏し、うずくまった。4月には右膝内側半月板損傷で手術も受けているだけに、一瞬場内が静まりかえった。それでもスタンドからの興梠コールにも後押しされ、立ち上がりプレー続行。その後に決めたゴールだった。

浦和から期限付き移籍し、札幌の一員として戦うこと15試合目。ようやく地元サポーターの大きな声援を浴びた。この日からゴール裏など一部エリアで声出し応援が復活。試合前から大きな声援がスタジアム内に響き渡った。「本当に選手を後押ししてくれますし、自分自身もすごく気持ちが高ぶる感じで試合に臨んだ」と確かに力になった。

チームは後半に2点を奪われ1-2で逆転負け。「一生懸命応援してくれたサポーターのみなさんに申し訳ない」。シーズンは残り8試合。次節9月2日のC大阪戦、同11日の磐田戦と札幌ドームでの連戦が控える。「次こそは勝ち点3を取れるように。まずはチームが勝つことを目指してやっていきたい」。J1で16年連続ゴールを決めている点取り屋が、この先も決定力をみせつける。【山崎純一】

○…札幌に新加入の韓国人FWキム・ゴンヒ(27)が日本デビューを果たした。この日初めてベンチ入りし、後半10分に出番はめぐってきた。「20分くらいは出るだろうと予想はしていた」。1トップで先発し先制点を決めた興梠と代わりピッチに立った。出場直後、ペナルティーエリア右に味方が送った縦パスに走り、最後はMF菅へパスを供給。得点にはつながらなかったが軽快な動きをみせた。

ピッチに飛び出す際にはサポーターから大きな拍手をもらった。「声を出してくれてすごくよかった。昼のゲームですけど(スタジアムの雰囲気が)ナイターっぽい感じもあって、いい雰囲気でできた」と初陣を振り返った。次は来日初ゴールを狙う。

○…MF宮沢 J1通算200試合出場を達成した。逆転を許した後の後半30分、DF福森に代わってピッチへ。チームメートらとともに最後まで走り続けたが、節目の試合を勝利で飾ることはできなかった。「サポーターの声援を聞いて、ホームで自分たちも結果を出したいですけど、なかなかうまくいっていないのが現状。勝ち点を積み上げていくことに死に物狂いでやるしかない」と巻き返しを誓った。

○…手痛い逆転負けにペトロビッチ監督(64)が表情を曇らせた。試合後の会見で「正直負けるとは思っていなかった。残念で痛い敗戦。残り8試合という状況の中で、残留争いという戦いの中にどっぷりとはまったような状況だと言える」と口にした。次節まで約2週間。「残念がっていても、下を向いていても、この結果を変えることはできない。前を向いて次の試合に向かって準備をするだけ」と切り替えた。

▽後半21分に興梠のゴールをアシストしたFW小柏 あそこはうまくパスを通せてよかった。あのゴールはよかったと思うし、いいアシストができた。