青森山田の単独チームで臨んだ青森県が、3年ぶり開催の国体で県勢最高成績の準優勝に輝いた。

Jリーグ下部組織の選手が大半を占める神奈川県に1-2で敗戦。頂点をあと1歩で逃すも、昨年度に全国選手権、全国総体、プレミアリーグEASTの高校3冠を達成した「松木世代」も届かなかった国体2位。J1東京MF松木玖生(19)も背負った青森県の背番号「10」を継承したMF谷川勇獅(ゆうし、1年)を軸に、この経験を黄金時代への礎にする。

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準優勝の悔し涙を高校3冠のうれし涙に変える。1-2のまま試合終了の笛が鳴ると、膝に手をつき、ピッチにしゃがみ込む青森県の選手たち。すでにプレミアリーグデビューを果たし、今大会で10番をまとう谷川にとっては、初の全国決勝の舞台だった。「結果だけを見ると悔しいですし、自分自身、何もできずに悔しい気持ちはあるが、そこは切り替えて、2年後、このメンバーで3冠を取れるように一からやっていきたいです」と前を向いた。

早生まれの山本虎主将(2年)以外のメンバーは、青森山田の1年生で構成された青森県代表は快進撃をみせた。1回戦は長崎県に3-0、2回戦は福岡県に1-1からPK戦勝利、準々決勝は宮城県に3-0、準決勝は北海道に0-0からPK戦の末に勝ち上がった。

決勝は前半9分に神奈川県に先制を許す展開。同31分、青森県はDF小沼蒼珠(そうじゅ、1年)の左クロスを中央のFW川口琥牙(たいが、1年)がスルーし、最後はMF浅野瑠唯(るい、1年)が落ち着いて右足で流し込み、同点とした。しかし、後半23分、寄せきれなかった一瞬の隙を突かれ、豪快なミドルシュートで勝ち越された。

J1東京でプレーする松木ら後の3冠メンバーで挑んだ直近19年の国体で青森県は、初戦(2回戦)で富山県に0-1で敗戦。1年時に悔しさを味わった先輩たちは3年時に全国選手権、全国総体、プレミアリーグEASTで優勝し、高校年代で無双した。

悔しさを糧にする。谷川は「自分は青森県出身で、小学校からこういう選抜に入りましたが、青森県選抜は今回が最後。だから、優勝で恩返しがしたかった。準優勝は悔しいが最高成績になったので、優勝は後輩たちに託して、自分たちは頑張っていきたいです」。国体2位を2年後の3冠につなげる。【山田愛斗】

◆青森県・上田大貴監督(37、青森県過去最高成績の準優勝に)「彼らは悔しくて涙してましたけど、やっぱり青森県としては初めての準優勝。準決勝の壁を乗り越えてファイナリストになったことは、胸を張って良いかなと思います」