岡山学芸館(岡山)が神村学園(鹿児島)との3-3の打ち合いの末、PK戦を制した。

3回戦の国学院久我山(東京A)戦を含め、計9回のPKをすべて成功。昨年11月のW杯カタール大会でも話題となったPKを徹底した練習で“十八番”にした。東山(京都)も1-1からPK戦の末4-2で前回準優勝の大津(熊本)を破った。決勝は、ともに初優勝を目指す両校が9日午後2時5分から同競技場で対戦する。

     ◇     ◇     ◇

PK戦の重要な1人目を務めるMF岡本が、ど真ん中に決めた。「コース、変えた方がいいですかね」。直前、平清孝ゼネラルアドバイザー(GA)とやりとりしていた。3回戦の国学院久我山戦では左へ蹴っている。「変えてもいい。思い切り蹴り込んでこい」。そう声をかけられ、自信に満ちた真ん中の選択だった。「(PKを)外したことはないし、GKとの駆け引きの中でいける自信があった」と胸を張った。

67歳の平GAは東海大五(現東海大福岡)で45年間指導し、90年度大会で3位の実績を持つ。高校サッカーを熟知する名伯楽は「PKは運じゃない。練習だ」と語る。監督時代、高校選手権で3度、PK戦で敗れた。決勝まで延長戦のない同大会は、PK戦も大きなカギを握る。「100%決められるコースを持てるようにならないと」。22年4月にGAに招いたチームは試合前日を除き、ほぼ毎日、練習後にPKの紅白戦などを取り入れて蹴り込んできた。

PK戦を特技にした精鋭の中で1人目を務める岡本が、決勝進出のかかった大事な場面で真ん中を選択。その強心臓ぶりに引っ張られるように、2人目からの3選手は立て続けにリスクの高い左上隅を射抜いた。3回戦も同じキッカー、順番で全員が同じ左へ成功し、この日はさらに難しい左上へ蹴ってGKにチャンスを与えなかった。守ってはGK平塚がボルシアMG内定の神村学園FW福田をストップ。超高校級を擁する相手を破った。

昨年11月のW杯カタール大会でも、日本代表がクロアチア代表に敗れたことなどで話題になったPK戦。高原監督は「運とも言われるが、積み上げてきたものも少しは出る」と謙虚な言葉に力を込めた。目標としてきた国立でのプレーをかなえ、そして勝った。守護神の平塚は「必ず優勝する」。岡山県勢初の悲願まで、あと1勝だ。【岡崎悠利】

【高校サッカー スコア速報】はこちら>>