日本協会の田嶋幸三会長(65)が1日のアジア・サッカー連盟(AFC)選出の国際サッカー連盟(FIFA)理事選で3選を果たした。任期は4年。田嶋氏がFIFAの要職を引き続き務めることは、日本のサッカー界にどんな影響をもたらすのか-。

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田嶋会長は理事選で15年の初当選時は36票、19年の再選が38票、そして今回が39票を集めた。着実にアジア各国の支持を増やしてきた。投票にはアジア47協会・連盟(以下協会)のうち、今回投票権のなかったサイパンと資格停止中のスリランカを除く45協会が参加。7人が立候補し、各協会の代表者は最大5人まで投票シートにマーク。合計票数の上位5人が当選となる仕組み。田嶋会長は2番目に多い票を集めた。

田嶋氏がFIFA理事を務めることは、日本にとってどんな意味があるのか-。まず考えられるのは理事のいない国と違い、より早く、正確な情報を入手できる。FIFAは理事会で大きな決定を下すが、その中心メンバーである田嶋氏のもとには多くの情報が集まる。決定の裏にあったFIFAの思惑なども踏まえ、より正確な情報をもとに、日本協会は手を打つことができるようになる。A代表はもちろん、女子代表やアンダーカテゴリーの代表も、いろいろな変更に、より正確な対処ができる。

また、国際大会の開催を希望する場合、アジア全体の利益を考えながら、開催地に立候補の意思を持つ協会をサポートすることもできる。3期目を迎え、顔も広く、実績を積み重ねてきた田嶋氏なら、仲間意識の強いFIFA理事を説得する場をつくりやすい。

02年ワールドカップ(W杯)日韓大会は当初、日本単独で話が進んでいた。しかし、当時韓国協会の鄭夢準(チョン・モンジュン)会長がFIFA副会長で強い力を持っていた。この点が切り札となり、共催となったという見方が強い。日本は50年までのW杯日本開催を目指すと公言している。将来を見すえ、田嶋氏が大きな役割を担うことになるかもしれない。

今回、田嶋氏と争った同じ東アジア、韓国と中国の候補者は落選した。同じ東アジア連盟のメンバーとして、両国がFIFAに働きかける場合、田嶋氏の意見を参考にし、頼りにする場面も出てくると考えられる。当然、日本は東アジアへの発言力が増し、サッカーをきっかけに他国との政府間の外交においても、力を発揮することがあるかもしれない。

田嶋氏は来年3月で日本協会の会長職を退任する。退任以降は、FIFAやAFC中心の国際業務に専念できる。その間、日本にどんな効果をもたらしてくれるか楽しみだ。【盧載鎭】