清水エスパルスが不名誉な記録を更新した。ホームで大分トリニータと0-0のスコアレスドロー。後半は途中出場のFWチアゴ・サンタナ(30)ら攻撃陣が奮起して盛り返したが、ゴールが奪えなかった。昨季から続いているリーグ戦での11試合未勝利(6分け5敗)はクラブワースト記録。今季1度も勝てないまま、次節はジュビロ磐田との「静岡ダービー」を迎える。

清水はまたしても白星から見放された。昨季は7戦勝ちなしでシーズンを終え、再起を誓った今季も開幕から4戦連続ドロー。スタジアムは重苦しい空気に包まれた。クラブ創設31年の歴史でワーストとなるリーグ戦11試合未勝利。ゼ・リカルド監督(51)は「悔しい結果になってしまった」と力なく話した。

采配は積極的だった。この日は前節長崎戦から先発4人を変更。機動力があるFWディサロ燦シルヴァーノ(26)とMF神谷優太(25)を前線に並べた。起用の意図は敵陣でのハイプレスで相手を押し込むことだった。狙い通りの守備から速攻でゴールに迫る場面はあったが、得点は奪えず。FWチアゴ・サンタナ(30)を切り札として投入した後半17分以降はサイド攻撃で決定機を作るも、90分間で放った14本のシュートは空砲に終わった。

「チャンスは多く作り出せていた」。リカルド監督が評価した決定機は個人技頼みのカウンターが多かった。引いてブロックを作る相手を崩しきる精度は低く、MF白崎凌兵(29)は「もっと相手を見てプレーしないといけない」。勢い任せではない意図的な攻撃の組み立てがチームに求められている。

開幕4試合で1得点はリーグワーストタイ。同監督は「初勝利を早く挙げたいという気持ちで焦りが出ている」と振り返ったが、精神論だけでは解決できない課題も見え隠れする。次戦は磐田との「静岡ダービー」。中位に沈む同士の一戦で結果が伴わなければ、指揮官の手腕を疑問視する声が出てもおかしくない。下部組織出身のMF西沢健太(26)は言った。「ダービーは結果が全て」。積み上げてきた「リカルド体制」の実力が試される。【神谷亮磨】