加茂暁星高(新潟)のサッカー部監督に、長崎日大高前監督の亀田陽司氏(50)が1日付で就任した。長崎日大を25年率いて全国高校選手権に2度、全国高校総体に4度出場。国見の監督として全国選手権を6度制した小嶺忠敏氏(故人)と対峙(たいじ)しながら、全国トップレベルの高校サッカーを体感してきた。豊富な経験を土台にチーム強化を始める。

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練習中、亀田監督が1カ所にとどまることはない。1人ずつに目を配りながら、気になった選手にアドバイス。「『ごめん』はいらない。そう言う間に3メートル詰められるぞ」とミスした後の意識、「切り替えてすぐに動こう」と練習時の取り組みの早さを重ねて促す。

「素直な子たちが多い。やることをきっちりやっていけば上を目指せる」。就任は1日付だが、3月24日から指導を始めた。最初のミーティングで選手は目標に県大会優勝を掲げた。それに対し「それでは勝てない」とひと言。「新潟には帝京長岡、日本文理と全国制覇を目指すチームがある。県大会優勝のための練習では勝てない」とより高い強度の練習を求めていくことを明かした。

選手も本気だ。GK石丸翔太主将(3年)は「みんな戦う気持ちになっている」。加茂暁星は昨年の全国高校選手権県予選でベスト8。石丸主将は「試合を意識した練習をしている。(今年の選手権県予選で)優勝を狙う」と力強く言う。

昨年5月、加茂暁星学園スポーツ強化本部長で系列の新潟経営大の杉山学教授(54)から専任監督就任を打診された。高校だけでなく加茂市周辺のサッカー発展が構想にあることに共感。「高校だけでなく、地域のサッカー熱を高められれば」と新潟への移住を決断した。

98年から25年、長崎日大を率いて08年、11年と全国選手権に出場。それまでは小嶺氏の国見の壁にはね返された。全国よりも長崎を制する方が難しいとも言われた時代。「小嶺さんは勝利に対してすごく純粋だった」。名将とのせめぎ合いで得たもの、感じたものは多い。それを今後、還元する。「やるからには全国制覇を目指す」。新天地で歴史をつくる日々が始まった。【斎藤慎一郎】

◆亀田陽司(かめだ・ようじ)1972年(昭47)12月13日生まれ、大阪府出身。九州国際大付高(福岡)、筑波大ではボランチ。大学卒業後、ジョイフル本田でプレーし、96年に長崎日大に社会科教諭として赴任。98年にサッカー部監督就任。長崎日大では県高校総体優勝4度、準優勝5度、全国高校サッカー選手権県予選優勝2度、準優勝4度。22年11月に監督を退任。4月1日から加茂暁星学園職員。

○…加茂暁星高と新潟経営大を運営する加茂暁星学園では高校にグラウンドを新設する計画を立てている。現在のグラウンドを人工芝にし、サッカー1面のほか陸上用トラックも設ける。高校と大学は隣接しており、学園関係者は「これからは高校、大学と7年間通して育成することを軸にする。そのためにも高校の環境を整えたい」と話している。