J2清水エスパルスと藤枝MYFCイレブンの「静岡三国決戦」が13日(アイスタ、午後2時)に行われる。互いのプライドを懸けた一戦でのキーマンは得点ランクトップの藤枝FW渡辺りょう(26)と、海外でのプレー経験もある清水の元日本代表FW北川航也(26)。対照的なキャリアを歩んできた同学年の2人が、チームを勝利に導く1発を狙っている。【神谷亮磨】

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渡辺の目はギラついている。今季はここまでリーグトップの10得点。J1からJ3の全カテゴリーでただ1人2桁に乗せている。相手はJ2屈指のタレント軍団。完全アウェーの雰囲気も想定内で「ブーイングは逆に燃える。びびらずに戦えば勝つチャンスはある」と自信を見せた。

今年でプロ5年目。次戦は選手としての評価をさらに上げる千載一遇のチャンスだ。これまで年代別日本代表に選ばれた経験はなく、高校時代も無名だった。中学時代から日の丸を背負っていた同学年の北川がエリートなら、渡辺は“雑草”。それでも、3年半在籍した沼津で経験を積み、藤枝で才能を開花させた。元日本代表GK権田修一(34)とMF乾貴士(34)の「W杯戦士」との対戦もモチベーションで「そういう選手との対戦を肌で感じることができれば、もう一段階上にいける」と向上心は尽きない。

負けられない理由がある。それも1つではない。今月7日に祖母が89歳で亡くなった。渡辺は「おばあちゃん子だったので、残念」。プロ入り後初めて観戦に訪れたという4月のアウェー町田戦は無得点。勇姿は見せられなかったが、「これからも頑張っている姿を見たいと思っているはず」と、天国で見守る亡き祖母にさらなる活躍を誓った。

前節のアウェー山形戦では主将のMF杉田真彦(27)が右ひざ前十字靱帯(じんたい)断裂の大けがを負った。今季中の復帰が厳しい仲間の思いも背負って戦うつもりだ。清水戦には杉田も観戦に訪れる予定で、「ピッチに立てる選手が責任を持って戦う」と表情を引き締めた。

山形戦では試合中のPKを外し、チームも逆転負け。「負けたのは自分のせい」と反省し、「PKがあったら次も俺が蹴る。強気ですよ」と、強い意欲を示した。開幕前から待ち望んだ一戦。相手の大声援をだまらせるゴールで勝利に導いてみせる。