ガンバ大阪は31日、ユース監督の職を3月で退任していた森下仁志氏(50)を、更生研修として6月1日からJFL(日本フットボールリーグ)の高知ユナイテッドSCに派遣することを発表した。

同氏は過度な指導による問題でユース監督を3月で退任したが、G大阪に在籍したままの派遣で、期間は12月までの7カ月となる。

高知も同時に森下氏を受け入れる発表を行った。

G大阪ユース監督だった森下氏は、選手(高校生)らに対し、指導の適正範囲を超えた不適切な言動をとったとし、クラブは事実上のパワハラだとして3月での退任を決定。会見で問題の経緯を説明し、謝罪していた。

今回の更生研修は、森下氏の指導者としての更生を目的とし、クラブ外での実施を模索していた。

G大阪は今回の件について「森下氏がサッカー指導における課題を改善するためのものであり、改善点の整理、課題解決までのプラン作成から実行まで取り組むことで、指導改善を図ってまいります」とした上で、高知側へは「更生研修実施に賛同していただき、派遣を受け入れていただくこととなりました」と感謝の意を示している。

受け入れ先となる高知ユナイテッドは、高知県で初めてJリーグ入りを目指すクラブで、今季のJFLで現在3勝3分け2敗で7位につける。今後の結果次第で来季は悲願のJ3昇格もある。

高知の西村昭宏ゼネラルマネジャー(GM、64)は、かつてG大阪で要職につき、森下氏が順大からG大阪入りした当時は強化責任者だった。

関係者によると、そうした縁もあり、G大阪側が5月中旬に高知に受け入れを正式に依頼し、高知側も理解を示したという。

高知では指導の手伝いはもちろん、下部組織やチーム運営などの仕事に広くかかわる予定で、グッズ販売やスクール活動、講演活動も含まれているという。森下氏も全力で任務にあたる意思を示している。

サガン鳥栖などで監督経験のある同氏だが、初心に戻って他の組織で学ぶ機会を得たことになる。

6月7日に行われる天皇杯2回戦では、偶然にもG大阪と高知がパナスタで対戦することになっている。高知の組織に加わる森下氏だが、この大阪遠征には参加しない。

 

◆高知ユナイテッドSC 16年2月に高知県初のJリーグ昇格を目指して誕生したクラブ。高知市を中心に同県がホームタウン。四国リーグ優勝を経て、20年からJFLへ昇格。14、13、11位と着実に成績を伸ばし、昨年にJ3ライセンスを取得した。21年12月にはカズ(三浦知良)獲得に動いた経緯もある。選手はアマチュアとプロの混在で、元Jリーグ広島のMF横竹翔(33)らが在籍。22年に就任した吉本岳史監督(45)は、現役時代は横浜FCなどで活躍した。