ベガルタ仙台は6日、終始雨が降りしきる中、仙台市内のグラウンドで練習を行った。基礎トレーニングで体を温めた後、実戦形式のミニゲームで動きを確認。最後はシュート練習で約1時間の練習を締めた。GK林彰洋(36)が、約2カ月もの間、11戦未勝利と長く苦しかった当時の心境を吐露。FW斎藤学(33)、MF長沢和輝(31)の2人の加入がチームの転機になったと振り返った。

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負の連鎖に苦しんだ。仙台は8月13日群馬戦まで、11戦未勝利と長い長いトンネルをさまよった。林は「技術面での負けではなく、心理面で負けていた」と振り返る。思い描いたプレーやポジショニングができず、常に受け身の状態。本来の心理状態であれば、結果が伴わなくても良いプレーや戦術を継続できる。だが、敗戦や引き分けが続いたことでこれを“不正解″と認識した。常に手探りで疑心暗鬼。チーム全体が神経質になり、仲間のミスを責め、「指示=文句」と捉えるなど、チーム内にはネガティブが充満していた。

だが、決して下は向かなかった。この苦しい期間にFW斎藤、MF長沢の2人が加入。「彼ら(斎藤と長沢)が来たことで、チーム内の心理状態について話すことが増えた」とチーム全体の共通理解が改善した。さらにスタジアムの歓声でチーム全体まで届かなかった林の指示が、後ろから前へ声をつなぐことで浸透するようになり、チームにまとまりが生まれた。

「本当に大きな一勝です」。迎えた8月19日大宮戦で12戦ぶりの勝利。ようやくトンネルを抜け出した。林は「恐怖感がなくなり、気持ちに余裕ができた」と、本来の仙台の姿を取り戻す大きな一勝になった。もう後がない仙台だが「過去は変えられないので、ここからどう戦うか」と完全復活を見据える。

次節は9日、3連勝中と好調の岡山とアウェーで対戦。岡山は直近4試合で3得点のFWチアゴアウベス(30)をはじめとする強力なアタッカー陣がそろう。林は「簡単ではないが、1戦1戦にフォーカスして勝ち点3を積み上げたい」とアウェー勝利を誓った【木村有優】

 

○…10日に56歳の誕生日を迎える堀孝史監督(55)の一足早いセレモニーが行われた。MF工藤蒼生(23)、GK梅田陸空(22)がバースデーソングを歌いながらケーキを持って登場。2人は「堀さん、おめでとうございます!」と満面の笑みで祝福。「どんな年にしたいか」と聞かれた堀監督は「とにかく健康で…(笑い)」と答えるなど、会場は笑いに包まれた。「選手をはじめとする仙台の関係者やサポーターのみなさんと良い時間を過ごしたい。チームの力になれるように頑張ります」と意気込んだ。