昨季の天皇杯王者でACL初挑戦のJ2甲府が、敵地で貴重な勝ち点1を手にした。

長距離移動を経て迎えたメルボルンC戦を0-0で引き分けた。15日の東京V戦から先発全員を変更。序盤から積極的な守備が機能し、攻撃への素早い切り替えで多くの好機をつくった。J2からの参戦は06年の東京V以来。ゴールはこじ開けられなかったが、クラブの新たな1歩は踏み出した。

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J2でもアジアを舞台に戦えることを示した。前半15分、裏に抜け出したFW松本孝の左足シュートはGKの好セーブに阻まれた。前半38分、ゴール左約20メートルからのMF佐藤の直接フリーキックはクロスバーに当たった。シュート数は甲府19本に対して相手は7本。あと一歩の展開だった。

主将マークを巻き、右サイドバックでフル出場したDF関口は「勝ち点3を取らないといけないゲームだった。十分、出来ることは証明できたが結果がついてこなかった」と悔しがった。ただ「確実に甲府の新しい1ページになった」と、クラブ史に刻んだ一戦の手応えを口にした。

18年からJ2で戦う。リーグ戦はJ1昇格プレーオフ圏内(6位)に勝ち点差2の7位。昇格を目指しながらのACL挑戦となった。24日には2位清水との試合も控える。FWクリスティアーノ、MF長谷川ら主力7人は遠征に同行せず、先発も15日の東京V戦から全員を入れ替えた。移動日は直行便がなく、甲府から約25時間かかった。飛行機はエコノミークラス。到着後は宿泊先近くの公園で体を動かした。

普段、リーグ戦での出場機会が少ない松本孝、FW飯島、DF神谷らが長旅の疲れも見せず90分、戦い抜いた。フィジカルが強いオーストラリアの強豪チームを相手に、サブ組でつかんだ勝ち点1。10月4日にはホーム・国立でブリーラム(タイ)と対戦が控える。J2クラブのACL初勝利の歴史を刻む日も近い。